札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年5月13日日曜日

医学史 呪術・ギリシャ医学

5月10日からいよいよ学生による発表が始まった。
初回は1班「呪術」と2班「ギリシャ医学」である。
司会も21班と22班と決まっている。

1班はトップバッターとして大変な緊張の中での発表だっただろう。
しかし、発表は、その内容もさることながら、
講義で説明したプレゼンテーションのコツを
ちゃんと踏襲した素晴らしいものであった。
まず、
発表者が原稿を読んでいない!
メモは見ているが、発表はちゃんと自分の話し言葉で行なっている。
原稿棒読みのつまらない発表とは違い
内容がすんなりと頭に入ってくる。
また、聞き手に適度に質問を投げかけて、
一方的にならないよう工夫も見られる。
スライドに文字を詰め込まず、
2-3の単語と簡単なイメージの画像を使った発表がテンポよく続いていく
そして、最大の特徴は、
『伝えたいこと』が一貫していることだ。
講義でも述べたが、プレゼンがうまくなるには、
『何かを伝えたい情熱』がないと、何も伝わらない。
この班は、
人間の『何かにすがりたい気持ち』が、医学の始まりであると伝えた。
この情熱は、学生の講義の感想にもしっかりと現れている。
多くの学生が、感想の中で「何かにすがりたい気持ち」について
記載している。
発表班が伝えたいと思ったことがきちんと伝わっている証拠である。
この医学史では、授業後に提出する授業の感想や発表への評価票を
発表班は見ることができるとしている。
この感想や評価は、おそらく発表班のおおきな自信へつながるだろう。
こういう自信がさらなる高みを目指すきっかけになってくれることを願う。

2班のギリシャ医学の発表も
1班に続いて、ちゃんと講義で説明した内容を踏襲していた。
2班の最も伝えたかったことは
「患者とともに考える医学」であろう。
これだけでは『どうしてギリシャ医学と関係があるのか?』
という疑問も出てくるであろうが、
実際の発表では、その流れをしっかりと構築していた。
多くの聞き手によく理解できる内容であったと思う。
実際、学生からの感想には、やはり多くの学生が、
「患者とともに考える医学」をキーワードにあげていた。
発表そのものは画像を利用したり、
聞き手に問いかけたり、時間を作って周囲と議論させたりと、
プレゼンテーションだけでなく、ファシリテーションの技術も駆使していた
過去2回の講義がちゃんと浸透している証拠であり
教員としてこれ程嬉しいことはない。

1班も2班も漠然とした古代のテーマを
きちんと現代医療と関連付けて、発表を行なっていた。
古代の医学についての説明を行うだけでは
おそらくつまらないものになっていただろう。
聞き手の興味・関心に合わせて現代医療に関連付けたところが
非常に興味のわく発表へつながったのであろう。
今後の発表は残り20班ある。
前の班の発表から学ぶことも多いだろう。
今後の学生諸君の成長が楽しみである。
(助教 松浦武志)