9月29日、研修医の振り返りを行った。2か月で約130例の外来患者さんを担当した。疼痛で座れないという患者さんや食物への異物混入を訴える患者さん。様々な背景が原因で不調を訴える患者さんたち。
その中から印象的な事例を2例を発表してくれた。
第一例は腹痛、下痢、発熱の20歳代女性。はじめはウイルス性腸炎として対応したが、その後、血便が出現するようになったため再受診。カンピロバクター腸炎、病原性大腸炎、虫垂炎を鑑別診断に挙げた。調べてみてカンプロバクター腸炎は3日後、下痢、発熱、嘔吐、虫垂炎に似ている、ギランバレー症候群を呈することがある。エリスロマイシンがファースト・チョイス、等がわかった。
SEA:腹痛が4日続き血便があるということはただごとではない。経過を観察することが重要であることがわかった。
クリニカル・パール:血便を伴う感染症をみたらカンピロバクター感染を考慮する。
1/3は初期段階で消化器症状を欠く。
第二例は、フィリピンから帰国後、咽頭痛、咳、鼻水、腹痛、下痢、発熱の20歳代女性。
38.1度、咽頭発赤。何らかの感染症。
鑑別診断として輸入感染症(デング熱、マラリア)、感冒、等を挙げた。
SEA:素足で泥の中で作業をするという日本人支援労働者の衛生面への意識の低さを懸念した。
クリニカル・パール:国内においても輸入感染症の知識が必要であることがわかった。
1年目の研修医であっても、2ヶ月間で十分に外来研修から学んでいることがわかった。たくさんの人を受け入れたいので、是非、研修医の皆さん、選択して下さい。(山本和利)