札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年7月22日木曜日

オペラントとしてのうつ病

  7月21日、札幌医科大学においてニポポ・スキルアップ・セミナーが行われた。講師は旭山病院の芦沢健先生である。テーマは「オペラントとしてのうつ病」。
 一体うつ病とは何なのか。「ここだけの話」として口火を切った。抑うつ気分、興味の減退、易疲労感、があると診断される。日内変動、途中覚醒、微小妄想も参考になる。
  うつ病の増加について。最近、精神科医が自信を持ってよくなると言えなくなってしまった。10年間で2倍。95万人。新たなうつ病が増えている。長引く不況によって自殺者の増加があり、うつ病の増加。抗鬱薬の売上、5.3倍。手帳交付数;7.8倍。3万人の自殺者とうつ病。警察が自殺と断定する率が増えた?(捜査をしなくてもよくなる)。
  うつ病と薬物療法。10年前にNHKが「SSRIで人生が変わる」「うつは心の風邪です」と放送し、使用薬物量が急増。新薬を1つ開発するのに大変なコストがかかる。患者や医師が暗黙にうつ病を望む場合、簡単に診断できる。患者にとってうつ病の診断が、都合がよいことが多数ある、等の原因が考えられる。
  
  「オペラント」とは、報酬により強化されることをいう。現在のうつ病は様々なオペラントが働いている。オペラントは時間経過とともに独立して強化される。
  最近のうつ病には、タルコット・パーソンズのsick roleが成り立たない。医者に援助を求めること、社会的責任免除されることばかりが強調されてしまう。不登校者がニートに、ニートが「うつ病」になっているのではないか、という印象があると。
「オペラントを減らす方向で関わることが重要である」と強調された。
<お知らせ>
  芦沢健先生が大会長で2010年11月25-27日、札幌コンベンションセンターにおいて第28回日本森田療法学会が開催される。関心のある方は是非ご参加ください。
  人生をうまく生き抜くためには、「歩くこと、笑うこと、歌うこと」が大切ということでした。私も明日からもっと歩こう!(山本和利)