札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年7月12日月曜日

第5回札幌医大指導者養成講習会

7月10,11日、第5回札幌医大指導者養成講習会を企画し運営を行った。受講者は40名(6グループ)。タスクフォースは7時に集合して打ち合わせ。8時開始。堤裕幸教育センター長から挨拶後、「札幌医大の初期臨床研修」の講義を受ける。その後、偏愛マップ(今ハマっていることを紙に書いて、それを交換して話し合いをする)を用いたアイス・ブレーキングで和んでもらった。北大川畑秀伸先生から「カリキュラムの目標と方略」のWS.Outcome based curriculumを中心に作業を開始。1000以上あるプロセスを6つくらいのoutcomeに凝縮する。そのためにはCompetencyという言葉の理解が大切。(職務上、期待される業績を安定的・継続的に達成している人材に、一貫してみられる行動・態度・思考・判断などにおける傾向や特性のこと)。任意の診療科のcompetencyを6つ挙げてもらう作業後に発表。次に学習方略の解説を聞いた後、グループ作業に入った。
昼食後、松前町立松前病院夏目寿彦医師主導による「上手なフィードバックをしよう」は3人一組でロールプレイをしながら和気藹々と進行した。研修医役、指導医役、評価者役をそれぞれ1回ずつやってもらった。皆さん役になりきって熱演していた。研修医役をした参加者からネガティブなフィードバックが思った以上にきつかったという感想があった。
勤医協中央病院臺野巧医師の主導で「実践的な教育の評価」は3シナリオを準備していずれか1つのシナリオに沿ってロールプレイを行った。最初に初期研修医評価のための指導医会議(指導医2名、シニアレジデント2名、看護師長1名、看護主任1名、ソーシャルワーカー役1名)を模擬体験した。ACGMEで開発されたモデルに基づいて6項目について評価をしてもらった(患者ケア、医学知識、診療に基づいた学習と改善、コミュニケーション技術、プロフェッショナリズム、システムに応じた医療)。研修医がひとり当直できるかどうか評価するmini-CEXを紹介してくれた。勤医協中央病院の総合診療科では実際にこのようなことを取り入れているところがすごい。
幌加内町立国保病院森崎龍郎先生主導による「外来における研修医指導のための5つのマイクロスキル」のWS。マイクロスキルは5段階を踏む(考えを述べさせる、根拠を述べさせる、一般論のミニ講義、できたことを褒める、間違えを正す)。2人1組になってロールプレイを8回。

2日目。(参議院選挙と重なってしまった)。北大の中村利仁先生から「医療安全」のWS。院内の事故に対する指導医の研修医への対応または今後の再発防止策の提言という課題で話し合いが行われた。
東京北社会保険病院の名郷直樹先生「EBMの教育」のWS。糖尿病があり肺炎併発で入院中の60歳男性というシナリオでWSが行われた。文献はThe Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group. N Engl J Med. 2008;358:2545-59.を使用。
昼食後、寺田豊助教主導の「ティーチング・パールを共有しよう」では参加者に得意ネタを白板で披露してもらい、フィードバックを受けるセッション。いつもながら大いに盛り上がった。
最期は、札幌医大山蔭道明教授の「大学病院が当面する問題戸将来 卒後初期臨床研修の現状と改革の動向」
最後に参加者の感想をもらい、終了証を手渡して解散となった。参加者の反応は悪くはなかった。明日からの研修医指導に活かされることを期待したい。(山本和利)