札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年7月20日火曜日

キング・コーン

『キング・コーン』(アーロン・ウルフ監督:米国 2007年)というDVDを観た。米国の二人の若者がアイオワ州に移り住み1エーカーの土地を借りてトウモロコシ栽培に挑むドミュメンタリー映画である。収穫までの間に、トウモロコシの生産と流通、消費について調べてゆく。普段何気なく食べている“コーン”は、過剰栽培であること、食べてもマズク牛の飼料に回していること、さらにコーンシロップの材料に回り、清涼飲料水に大量に含まれていること、それが原因で米国の肥満・糖尿病の原因になっていること、農家の人たちは自作のトウモロコシを食べないこと、コーン栽培のほとんどを石油に依存していること、等々様々な負の面が分かってくる。栽培農家の収支を計算すると赤字になるが、政府から制裁策として補助金がでるため何とか農家がやっていけるということだ。米国の食料の源はほとんどがコーンにたどり着く。
化学肥料並びに農薬、遺伝子組み換え、政府の補助金、健康問題など、現代の食糧システムの実態がよく把握できる。農業者が誇りを持てない米国農業(「我々農家はカスを作っている」)と農業政策に疑問を感じた。大企業の関わりについてこの映画では全く触れられていない。そこがわかると何故このような政策が維持されているのか理解が深まるのではないかと思った。医療に限らず政策が重要であるということを実感した。(山本和利)