札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2013年5月7日火曜日

エジプト医学/ギリシャ医学

医学史講義
本日よりいよいよ学生の司会と発表による医学史の講義が始まった。
学生諸君にとっては、今後どのように授業を進めていけばいいのか
興味津々の初日であったであろう。講義室はほぼ満員である。
今後日を追うにつれ空席が目立つというようなことがないように、
内容のある授業にしてきたいところである。

最初は1班のエジプト医学の発表である。
発表は司会班による班員紹介から始まった。
そのためのスライドも用意している。
これは今までにないパターンである。
実はこの発表の1班と司会の21班は事前に何度も発表内容について、
班員同士で打ち合わせをしている。
発表者と司会者が事前に打ち合わせをして、どのような発表会にするかということを、
あらかじめ詰めておくことは重要である。
ただ、あまりにもシナリオを作りすぎると
「やらせ」となってしまうが、ある程度の打ち合わせは有効である。

1班のコンセプトは
「エジプト医学」は その当時日本は縄文時代であるにもかかわらず、
すでに高度な外科手術が行われ、現代にも通じる薬学が存在するくらい
高度に発展していたということである。
現代医学との比較を随所に取り入れ、
「いかに発展していたか?」を強調していた。
聞き手の分かりやすいものと比較するということは
発表内容をわかりやすくするためには大変重要なことである。

また、
発表のほとんどにBGMを入れることで、発表に抑揚がつき、
常に聞き手を引き付けることに成功していた。
ただ、ややBGMの音が大きすぎて
発表内容に集中できない部分があったかもしれない。
音量の調整は、音源のスマートフォンとマイクの距離でしかできないという
貧弱な会場設備であったことも影響しているだろう。
まぁ、許容範囲であろう。
むしろBGMをタイミングよく流し続けるという工夫のほうを称賛しておきたい。

1班の発表は、一人で30分を発表し続ける方法であった。
「関西人」であるということだけで選ばれた。
と自ら自己紹介していた通り、ユーモアを交えた面白い発表であった。
どの発表でもそうだが、発表者自らが自信を持って、発表することが大切である。
自信がなかったり、照れたり、中途半端な気持ちになってしまうと、
その気持ちがすぐに伝わってしまう。
今日は初日ということもありかなり緊張していたようだ。
この緊張は練習をすれば徐々に慣れていくものである。
今後の努力に期待したい。
総じて、最初の発表としては、十分すぎるほどの工夫を凝らし、
堂々と発表していた。
また司会班もエジプト医学に関する〇×クイズなどを行うことで、
知識の補完を行っていたようだ。
ただ、ややテーマと関係のない内容もあったため、
気が抜けてしまったところもあったかもしれない。
せっかく事前に何度も打ち合わせをしていたので、そのあたりを
もう少し詰めておくとより引き締まる内容になっていただろう。
最後に司会班から1班の発表内容を簡単にまとめたものを
口頭で発表していたことは非常に良かった。
発表班には「ちゃんと発表を聞いていましたよ」というメッセージとなり
聞き手には、最後に知識の整理ができたであろう。

2班はギリシャ医学であった。
エジプト医学にも影響を与えた権威のあるものである。
2班は1班とは対照的に班員で分担して発表してた。
自分の調べたところを自分で発表する場合は
その行間も含めて発表することができる。
その利点を利用しているのだろう。
スライドは概念図などを含んだ非常にシンプルでわかりやすいものであったが、
自らの調べた内容を適度に織り交ぜて発表していた。
しかし、   
分担するということは、本質的に発表全体の統一性がなくなる危険性をはらんでいる。
発表者それぞれの個性があるため、なかなかこの両立は難しい。
今回の発表も全体から見たときのストーリー性がやや欠ける印象を受けた。
プレゼンテーションで一番大切なのは、
「ストーリー」である。
今回の医学史ではプレゼンテーション内容についてかなり重点を置いているが、
その最たるものはその「ストーリー」である。
いわゆるプレゼンテーション技法というのはこのストーリーをいかにうまく伝えるかの
方法論でしかない。
最も大切なのは「何を伝えたい!」というストーリーである
最初の発表で準備時間は十分でなかったかもしれない。
今後の班はぜひ自分たちの発表の「ストーリー」にこだわってほしい。

発表は随所に動画を入れたりして飽きさせない工夫をしていたようだ。
うまくいくこと・いかないこと、いろいろあると思う。
やってみて初めて分かることもある。
こうした試行錯誤を繰り返すことで、プレゼンは徐々に上達していく。
他人の発表から学ぶことも多い。
この授業では受け身になることなく様々なことを吸収していってほしい。
今後が楽しみである。
(助教 松浦武志)