札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2013年2月27日水曜日

模擬患者による医療面接実習

226日、医学部4年生に医療面接実習を行った。

本日の実習は、模擬患者さん(SP)に来ていただいての実習である。

この模擬患者さんは普段は札幌医科大学付属病院で(患者案内などの)ボランティアをしていただいている方々で、その中から、学生教育に参加したいという意思のある方が選抜されている。

 この日のために、この1カ月間は週に1回程度当講座に来ていただいて、模擬患者用のシナリオを練習していただいた。その往復にかかる交通費や練習にさく時間などは全く手弁当で、毎年のことながら本当にありがたいことである。

 近年、学生の講義・実習への遅刻が目立つ。(近年に始まったことではないが、、、)

 学生の質が低いのか?

 講義の質が低いのか?

 いつの時代も議論される『鶏と卵』の水掛け論である。

が、しかし、この実習は違う!

毎年、模擬患者さんはシナリオを真剣に練習して、かなりレベルのたかい患者を演じられる実力をつけておられる。そういう方々が、朝早くから大学にきていただき、この実習に協力いただいている。

この実習に特段に考慮すべき理由もなく遅刻することは、「絶対に」許されない。医師・医学生である前に社会人としての自覚が著しく欠けるとしか言いようがない。

前日の医療面接実習の最後に、「明日の遅刻は絶対に許さない。君たちが4年前に受けた入学試験に遅刻するような学生はだれ一人いなかったはず。雪が予想されるなら、前日から大学の近くに泊まってでも遅刻しないように工夫したはず。4年前にできたことが今できないわけがない。」と、学生への自覚を求めた。

その甲斐あってか、本日はほとんどすべての学生が開始5分前には着席していた。

(残念ながら一人遅刻したが、、、)

「やればできるじゃないか!」 要は「やろうと思う」かどうかなのだ。

「やろうと思わない」学生を「やる気がない」と非難するのは簡単だが、

「やろうと思わせられない」教員に非はないんだろうか?

「やる気がない」から「やろうと思わせられない」

「やろうと思わせられない」から「やる気が起きない」

結局いつもの水掛け論である。

がしかし、少なくとも我々教員は「やろうと思わせるための」努力を怠ってはならない。100人の学生全てが「やる気がない」訳ではない。今回の実習では、30分も前にすでに着席して準備している学生も確かにいる。彼らのためにもわれわれは日々教育スキルを研鑽しなくてはならない。

今回の実習では、学生同士の実習では決して味わうことができない「いい意味の緊張感」があり、学生7人に1人の教員・模擬患者を配置する少人数の教育環境であったこともあり、大変に中身の濃い有意義な実習であったと思う。

学生諸君も大いに刺激を受けたことであろう。

この経験をもとに実際のOSCEは軽く合格して、早く臨床の現場で実際の医学を勉強して欲しい。

泳ぎは水の中でしか教えられない。

医学は臨床現場でしか教えられない。

学生諸君の奮闘を期待したい。(助教 松浦武志)