札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2013年2月19日火曜日

2012年度 学生臨床実習のための担当施設学習会


2012年度 学生臨床実習のための担当施設学習会

 
2月9日に上記の学習会を開催した。この学習会の目的は、本学5年生・6年生の臨床実習をご指導いただく施設間の交流や、指導方法などの情報交換などである。例年は年に1回程度開催していたようだが、ここ数年は諸般の事情により開催できていなかった。

今年度は久しぶりの復活開催となった。全道各地から13病院・診療所から医師・担当事務が参加していただけた。

まず前半の90分は、学生に比較的人気の高い3病院・診療所から学生実習の受け入れの心構えや、実際の実習内容・プログラムの準備の仕方、そこに至るまでの苦労話などを各施設30分ほどでご講演いただいた。

江別市立病院・松前町立松前病院・北海道勤医協月寒ファミリークリニックとそれぞれの病院規模に合わせた魅力的なプログラムの内容が披露された。

江別市立病院からは「教育なくして成長なし」の理念を全病院職員に徹底させて、教育(学生・研修医すべて)を病院全体で受け入れるという文化の成熟までの過程を熱っぽく語っていただいた。

松前病院からは、楽しそうに活き活きと実習する学生さん(と職員)の写真をたくさん披露しながら、1週間を通した実習内容を紹介いただいた。学生をなるべく放っておかず、いろいろとやらせて、歓待し、職員が活き活きと働いているところをなるべく見せるという強烈なメッセージをお伝えいただいた。

月寒ファミリークリニックからは、診療だけでなく地区視診やその方法論としてのPhoto Voiceなど斬新なアイデアが紹介された。COPC(Community-Oriented Primary Care)の理論的な側面も紹介いただいた。

どの演者の方も持ち時間の30分を目いっぱい使って、熱く語っていただいた。

 

しばし休憩をはさんだあと、参加者を病院規模別に3つのグループに分け(診療所グループ・中規模病院グループ・地域中核病院グループ)それぞれに演者の先生方にも議論に加わっていただき、学生実習の方法論から、導入実施までの苦労話や、評価の方法まで幅広く議論を展開していただいた。

 グループワークの時間は1時間ほど用意していたが、どのグループも議論が途切れることなく様々なテーマについて深く掘り下げることができたようであった。

 

 最後の30分で各グループから議論の内容を発表してもらったが、どのグループも同じような施設で抱える同じような課題に対して、参加者どうしで意見を言い合い、解決策を検討したようであった。

 診療所グループからは、規模が小さいため、学生の希望に対して、診療所全体で受け入れ、小回りが利くという利点がある反面、症例が季節によって偏ったり、学生の学習目標を達成できているのかどうか不安になったりするときもあるなどの意見が出された。

 中規模病院グループからは、様々な職種の働く現場を見せたり、実際に医療行為(医行為)を実際に経験させたりしている。どの程度まで学生にさせていいのかわかりにくいところもある。評価を医師だけでなく様々な職種にもさせているという意見などが出された。

 地域中核病院グループからは、医師が忙しい中、どのように実習のための時間を確保するか?医師だけでなく、他の職種も医学生の教育にかかわっていただき、病院全体で医学生を受け入れるという文化づくりを積極的に行い、医師の負担を減らすというような意見が出された。

 

 参加者のアンケートからは、学習会への満足度は比較的高く、今後も継続的に開いてほしいという意見が寄せられた。また、テーマをもう少し絞る。具体的にプログラムを作成してみて、問題点を抽出してみる・もう少し学生の評価についての議論の時間をとる・議論をまとめる時間をとる・病院規模別ではなくMixして行う。など次回に向けての有意義な提言もたくさんいただけた。非常にありがたいご指摘だと思う。

 多くの病院が参加したいと思える魅力的な学習会を目指して、来年度も開催する方向で検討したいと思う。  (助教 松浦武志)