札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年10月16日火曜日

医療面接 実習

109()、医学部4年生に医療面接の実習を行った。

前の週に山本教授と稲熊助教による講義、医療面接DVD鑑賞により、医療面接の理論的なところの学習は一通り終わっているという前提で、シナリオをもとに1グループ3人で、医師役と患者役と評価者役の3役に分かれて、実習を行った。

多くの学生が、「頭では理解できていることが、実際にやってみると何を聞くべきか全く出てこない」「見るのとやるのとでは大違い」など、実際に医師役として面接をやってみることのむつかしさを実感したようだ。

また、全員が「評価者役」を経験して、他の同僚2人の演技をじっくりと第三者的に評価することによって「他人の癖や、良いところ、また直すべきところがよく見えてよかった」「自分が他者から客観的に評価されることで、自分では気づかない『えーと』『それで、』など自分の癖を指摘されて非常に良かった」などの感想が多かった。

今後君たちが研修医となった際、指導医からの評価はもちろん受けるだろうが、「同僚からの評価」は、医学教育の分野では「かなり有効な評価」とされている。この機会に同僚を評価し、また同僚から評価を受ける訓練を受けておくのは大変意味のあることなのである。

また、実習では全員が「医師役」「患者役」「評価者役」を経験した後に、さらにもう1回別のシナリオで「医師役」「患者役」「評価者役」を演じてもらった。これは、1回目に思うようにできなかったところや、他人のいいところ、自分も取り入れるべきところを実際に見て、それを実行する場を与えるためである。人間は「失敗から学ぶ」生き物である。失敗を修正して、それを実行する場がないと成長できない。そのための2回り目なのである。

2回目は多くの学生が「1回目よりかなりスムーズに面接することができた」と感想を述べていた。ただ、今回の実習は、医療面接の「型」を覚えることを目的としていた。つまり、診断のための有効な情報をどう聞き出すか?ということにはあまり力点を置いていない。もちろん、そういう能力は今後、絶対必要不可欠になるが、最初から多くを求めても仕方がない。物には順序がある。まずは、しっかりと医療面接の「型」を覚えてほしい。多くの経験を積んでその「型」を変形させて、進化させて、理想的なArtな医療面接をできるようになってほしい。そのための講義や実習も今後ちゃんと用意している。真摯な態度で授業に臨んでほしい。

学生さんの感想からは、今回はこちら側の意図がうまく伝わったことがうかがえ大変充実した実習であった。(助教 松浦武志)