札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年3月9日水曜日

3月の三水会

3月9日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は10名。大門伸吾医師が司会進行。体調不良で発表予定者が1名欠席。

振り返り5題。
田舎の病院から中都市の総合病院へ移っての感想。
・限られた中での検査や投薬から即日結果が出る医療へ
・患者中心からスタッフ中心に
・言葉から紙のコミュニケーションに
・車の移動からJRでの移動に
・明確なトップダウンから曖昧なトップダウンに
・外来は閉院した開業医の先生の患者さんを引き継ぐ
・内科の予約外は派遣会社からの先生が主に診療(3年目から15年目)。能力、専門科もまちまち(来年度から派遣医師の受け入れ中止)
・高齢者の肺炎、尿路感染、出張の呼吸器内科、耳鼻科の患者、皮膚科の入院。
・脳卒中の急性期後のリハビリ
・老衰やCPA
・内科を循環器科と消化器科が診て、それ以外を総合内科が診ている。

ある研修医。小児科研修3月目。1年間の総括。一人であったらどうなったことか。三人いれば発展がある。観光地である展望台にも島にも行けなかった。肩・腰・膝の診療ができるようになった。関節注射ができるようになった。骨折に対応ができる。子供診療に慣れた。新患外来、慢性期患者の再診、救急対応、上部消化管内視鏡を担当した。個人的には手応えを感じた。仕事はそれなりにこなして、一般内科医をやっていけるという自信がついた。実力不足を痛感した。困ったときもっと医療スタッフに相談すればよかった。倫理カンファもしたかった。目の前の仕事以外のことができなかった。北海道に来てよかった。充実した1年間であった。

ある研修医。研修施設の運営に関し改善を求めた事例。療養病床の運用基準。院内からの転科のみ。退院後の療養先が決定している患者。運用が40%なのに基準を満たさず受け入れてくれない。1床受け入れで15,000円増える。30床の空床を埋めると1億5千万円の増収となる。運用病床の基準を改められた。利用率は60%に上昇。
1年間を振り返って、忙しすぎた。160名の病棟患者を担当。自分自身の限界がわかった。自己研鑽、教育の重要性を痛感した。

1年目研修医。CPCでの報告。83歳男性。高血圧、高脂血症、高尿酸血症。CAGB術後。今回AAA術後のリハビリ目的で入院。下痢、嘔吐。発作性上室性頻拍。CTで胸水。左下肺野にラ音。肝腫大。BUN:49,UA:13.5、BNP;3490、CTR:64%、心エコーでMR,TR。VTとなり除細動をかける。治療に奏功せず死亡。
甲状腺のクリーゼの可能性は? ウイルス性劇症型心筋炎は? 心筋梗塞?
剖検診断:バイパス血管(静脈)の血腫による閉塞(梗塞)を起因とするVT。とすると、下痢の説明ができるのかという疑問あり。

産休・育休中の研修医。赤ちゃんは5ヶ月。ママ友ができた。集団予防接種に呼ばれた。体温計を渡されBCG接種。30分間はその場で経過観察。接種部位の自然経過についての説明がなかった。副反応としてのリンパ節の腫大やコッホ現象(接種後の強い局所反応)の説明もなかった。
結核予防法の改正により次のように変わった。ツ反の廃止。生後六ヶ月未満に変更となった。乳幼児期の1回だけの直接接種。
接種に関わる医療者がやり方を本当に理解しているかどうか不安がある。

皆それぞれに日々学んでいることを実感した振り返りの会であった。(山本和利)