札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年2月16日水曜日

2月の三水会

2月16日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は8名。大門伸吾医師が司会進行。来年度は3名新規参加があることを報告。

振り返り5題。
1年目研修医から学会での症例報告のプレゼンテーション。腰痛、頻尿で受診し、たまたまCTで発見された虫垂粘液嚢胞腺癌の症例。CEAが高値。虫垂は隔壁を有し石灰化あり。76例/日本の10年間。手術所見、疫学データを提示。予後は良好。

ある研修医。小児科研修中。入院患者が少ないため、外来での研修が主である。1歳2ヶ月。20歳代の母親、祖父母含め生活保護。これまで10回の入院歴。毎日、外来に来る。血液検査、XPを頻回に行っている。様々な社会資源にアプローチしている。喘鳴。下痢を主訴に受診。入院させるとあまり問題なし。退院後、40度。SaO2:92%。WBC;32,000、肺炎で入院、セフェム系抗菌薬が著効。病院と家族の関係が悪化しているため、母親と面談し傾聴。発熱、喘鳴、下痢についてアドバイスする。代理ミュンヒハウゼン症候群を疑われてはいるが確証はない。クリニカル・パール:「疾病利得がありそうな人への対応は難しい!」。

ある研修医。小児科研修中。入院患者はそこそこにいる。マイコプラズマ肺炎治療中に肝機能障害を起こした8歳男児。38.4度。SaO2:99%。GOT;235,GPT;358,CRP;1.0右中肺野に陰影あり。AZM、CTRXを使用。翌日、肝機能はやや改善。解熱。しかし肝機能が悪化。膝に痒みのある結節性紅斑が出現。嘔吐を繰り返す。その後消退傾向。薬剤を中止しても肝機能は悪化。マイコプラズマ抗体の値は2回目で4倍増加。自然寛解した。マイコプラズマ肺炎に伴う肝機能障害と考えた。クリニカル・パール:「マイコプラズマ感染症は多彩な病像をとる」。

ある研修医。剖検がはじめて取れたことを報告。中高生への「無煙教育」。喫煙率男性42%、女性18%。禁煙講演を実施。害や恐怖を強調。カーティ(顔がしわくちゃ)、ケリー(すべすべ)の双子の写真を提示。寸劇も披露。タバコの売り上げは3兆5千億円。経済的損失は7兆円。タバコ代の64.5%が税金。(もともとは戦費を賄うため)。生徒・保護者の反応は上々。成人にはワークショップ形式で実施。

24歳男性。排尿時違和感、亀頭から拝膿。性生活を聴取。パートナーへの受診を促す。ニューキノロンを処方し、梅毒、HIVをチェック。パートナーを診察。婦人科症状を聴取。婦人科受診を促す。性病のレビュ-。クリニカル・パール:「性病を疑ったらパートナーも受診させる」。「性病で受診する若者には性教育の必要がある。」

2年目研修医。毎日婦人科手術に入る。65歳女性。子宮体癌。腹腔鏡至急全摘術。術後覚醒が悪く、応答なし。MRI,画像診断で異常なし。転院し2日後自然に軽快。クリニカル・パール:「不可解なことに遭遇することもある」。(山本和利)