札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年12月22日土曜日

12月の三水会

1219日、札幌医大で、ニポポ研修医の振り返りの会が行われた。松浦武志助教が司会進行。後期研修医:2名。他:6名。

研修医から振り返り2題。

ある研修医の経験症例。90歳代男性の気胸、肺炎、トロッカー挿入。基礎疾患がないのか?宿主の免疫を考慮して抗菌薬を判断する。60歳代男性、糖尿病で入院させインスリンを導入したが、自己退院。20歳男性のマイコプライマ肺炎。マクロライド耐性菌では?80歳代男性、RA+間質性肺炎患者が呼吸困難に自己判断でHOTの酸素を上げた。ステロイドパルス療法に反応せず、間質性肺炎が進み、死亡。真菌、サイトメガロ、ニューモシスティス等ではなかったか?高校生の気胸、胸腔ドレナージ。精神疾患をもつ70歳代女性。肺結核と診断。60歳代男性、便秘で精査した後腹膜巨大腫瘍。ノロウイルス感染症。慢性咳の30歳代男性、クラリスで軽快。

NSAIDs、プラザキサで出血性胃潰瘍を起こした70歳代女性。認知症、糖尿病、精神疾患あり、入浴をしていない。ネグレクト状態。37.3℃、BP:94/64mmHg, HR;100/m, SpO2:98 %, RR:16/m,呼吸;正常。両下肢浮腫。疼痛、発赤を伴う感染病巣あり、WBC;19000,Afであった。心不全、蜂窩織炎と判断。NSAIDsとCEZ1g×2回で経過観察。改善が見られず、ユナシンを使用。CHADSスコア4点でプラザキサを使用。その後、食欲無くなり、内視鏡で出血性胃潰瘍と判明。

コメント:ピロリ菌の検索は必要。NSAID潰瘍の予防にはPPI(保険適応がない).老人へのNSAIDは要注意。

ある研修医。中学生の感冒薬大量服薬による自殺未遂を報告(詳細略)。

ある初期研修医の経験症例。緑内障発作。吐血・黒色便の70歳代男性、マロリー・ワイス症候群。40歳代女性の右下腹痛、虫垂炎を疑ったが憩室穿孔であった。60歳代男性、発熱、意識障害、大腸菌による菌血症であった。侵入経路は何か?80歳代女性、入院中の血便、小腸出血であった。50歳代女性、上肺野の肺炎。結核の可能性はないのか?

コメント:髄液のタンパクが正常であれば髄膜炎は否定できる。

78歳女性、胸部違和感、意識障害。糖尿病、狭心症の既往。呼吸数26/分、上肢の握力低下。心電図に変化なし。心筋逸脱上昇なし。WBC;12000,経過観察を決めた。念のため頭部CTを撮影したら、くも膜下出血であった。水頭症をきたしていた。三次病院で脳動脈瘤が見つかり、緊急クリッピング術となった。

路上に倒れていた中年男性が救急外来にかつぎ込まれて着た。34.2℃。頭部の坐創あり。頭部CTは異常なし。WBC;20000,CTで胸腰椎圧迫骨折。血圧低下。心電図に異常なし。頭部CTを再度撮影し、くも膜下出血であった。三次病院に搬送。外傷性くも膜下出血は手術しないと。

クリニカル・パール; くも膜下出血イコール人生最大の痛みとは限らない。612時間後までの頭部CTの感度は97%。判断が困難なときは腰椎穿刺を行う(感度93%、特異度95%)。(山本和利)