札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年11月18日日曜日

幌加内での医療と生活

1116日、幌加内町国民健康保険病院の森崎龍郎先生の講義を拝聴した。講義のタイトルは地域医療の実践 幌加内での医療と生活である。

 
幌加内町の紹介。3つの日本一。そばの作付面積、日本最大の人造湖(朱鞠内湖:ワカサギ釣りができる)、最寒記録-41.2℃(霧氷が見える)。人口1,704人、世帯数855(町として最小数、人口密度が最低)。過疎の町で高齢者が多い(高齢化率35%)。小学校2年生は8名で全員女子。病院の紹介。町内唯一の医療機関。医療療養13床、介護療養29床。平均入院患者28名。平均外来患者数43名。常勤医師2名、非常勤医師1名、職員数40名。

 
日々の診療。外来:超音波、内視鏡検査。訪問診療。入院;回診、病棟業務。病棟管理。予防医学。保健福祉医療連携。産業医。

 

入院病棟:在宅生活が困難な方。脊椎損傷の方。認知症の方。脳卒中後遺症による胃瘻造設者。末期がん患者。骨折、火傷の方。

外来診療:高血圧、糖尿病、高脂血症。OA.認知症など。慢性疾患が複数組み合わさった患者が多い。それに急性疾患が加わる。小児の肺炎。帯状疱疹。マダニ咬傷。

 

当直:自宅待機である。2週に1件の救急車。
 

プライマリ・ケア医として

1.まずはすべてに対応する。2.自分のできることをする。シンプルに。スーパードクターである必要はない。

 

道北ドクターヘリ事業:旭川日赤病院が基地。1年半で4回要請している(交通事故、脳卒中)。悪天候、夜間の対応が問題。

 

在宅医療:老々介護。認知症同士の介護。カバーする地域の範囲が広すぎる。冬期間の厳しさ(雪はねが大変)。介護スタッフ不足。

 

出張診療所;4つの診療所。公民館の一部を借りているところもある。

保健福祉総合センター(アルク):ディサービス、居住部門、老人福祉寮。ふれあい福祉村構想。地域ケア会議の紹介。

 

予防接種事業:未就学児の任意予防接種をすべて全額助成。中学生女子の子宮頚がんワクチン全額補助。インフルエンザワクチンは中学生無料、町民は千円、高齢者の肺炎球菌ワクチン助成。保育園健診。

 

講義の途中に、幌加内そば打たん会、野菜作り、スキー、ワカサギ釣り等、田舎の生活の魅力を紹介してくれた。


1年半年経って感じること:患者さんの顔が見える。保健・福祉・救急の連携がスムース。旭川市が比較的近いので助かっている(高度医療・専門医のありがたみがよくわかる)。外傷が多い。人材不足(医師、看護師、介護士、ヘルパー、給食婦、等)。高齢者の生活(冬をどう過ごすか)。意外と子供が多い。シンプルに、コンパクトに地域医療を経験することができる。若いうちに是非、経験を!
山本和利)