札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年8月23日月曜日

ブリコルール

『邪悪なものの鎮め方』(内田樹著:basilico 2010年)を読んでみた。
 受験生へのメッセージとして、知的パーフォーマンスの向上というのは、情報量を増やすことではないと伝えている。重要なのは「そのうちに役に立つかも知れないもの」を嗅ぎ分ける能力だそうだ。その中でレヴィ=ストロースが『野生の思考』で紹介した「ブリコルール」について記載している。マトグロッソのインディオはジャングルを歩いていてなんだか分からないけれども、それに惹きつけられてとりあえず「合切袋」に放り込んでおく。彼らは全財産を袋に詰めて移動するので運ぶ内容は限られる。そんな状況においては「何に役に立つか今は言えないが、いずれ役に立ちそうな気がするもの」に反応する能力が生死を分けることがあると述べている。
その例として『太平洋ひとりぼっち』の堀江兼一氏のことをあげている。彼は出発前に床に落ちていた小さな板切れを海に捨てようとしたが思い直してとっておくことにした。しばらくしてヨットが嵐に襲われて、船室の窓ガラスが破れて海水が浸水してきたとき、この板切れを窓にあてがって浸水を止めたという。
 「自分が何を探しているのかわからないときに、自分が要るものを探し当てる能力」これこそが最高の知的パーフォーマンスである。

地域医療を再生させるために何をしたらよいのか?様々な人と出会い、本や映像にヒントが隠されていないか日々模索をしている。とりあえず、自分の鞄に放り込もう!それが「学び」というものらしいから。(山本和利)