札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2014年3月17日月曜日

膵β細胞ブドウ糖毒性を軽減させるための糖尿病治療


32日、札幌で川崎医科大学金藤秀明先生の講演を拝聴した。
 
その前に道内の医師から臨床経験からの話。
インスリン注射の間違え
1.インスリンを同じ場所に打つ。
2.針をすぐ抜いてします。
3.混濁を均等にしない。
ペンタイプは徐々に使いやすくなってきている。
デグルテクは42時間持続。8時間ずれてもOK.
インスリン自己注射ができない患者に、週1回使用。HbA1Cが低下。
切り替えに問題はない。
 
インスリン強化療法。
注射回数が多い。厳格にコントロールを目指すと低血糖の危険が増す。
人によってインスリン基礎分泌パターンが異なる。
デグルテクでは60mg/dlの低血糖が低下する。日内血糖値の幅が小さくなる。
 
CGMの検討で。Hba1c<7%の患者の40%に夜間無自覚性低血糖が認められた。
血糖変動が大きいと動脈硬化指標が増す傾向がある。狭心症、眼底出血につながる。
デグルテクは、夜間低血糖がなくなり、平均化する。日中の食後血糖値が上昇することがある。
日中食後尿糖(+)の患者には無自覚性低血糖が隠れている可能性がある。
 
 糖尿病糖毒性の分子メカニズム
過食、肥満→「脂肪毒性」(炎症性サイトカイン、FFA)→インスリン抵抗性、分泌低下。
β細胞の機能低下。
 
β細胞数の低下、インスリン分泌低下。酸化ストレスが関連している。転写因子MafAPDX-1の発現が低下する。C-Junの発現が誘発される。
 
インクレチンの役割
GLP-1応答性インスリン分泌が低下している。GLP1受容体の低下。
 
 β細胞の保護を考えた治療方略
インクレチンはK細胞(上部小腸)、L細胞(下部小腸)から分泌されている。
 
インスリン短期間治療後には、インクレチン関連薬剤で85%がHbA1c<7.5%以下を達成できる。
早期インスリン導入が有効。β細胞機能が保持される。長期間にわたって糖尿病の再発が少ない。グルコース応答性インスリン分泌が保持される。MafAの発現が上昇。
糖毒性がかかっているときには、インスリンを早期に使用することが効果的。GLP1受容体アゴニスト、DPPIV阻害薬で経過観察しやすい。
 
インスリンの早期導入を強調された。
(山本和利)