札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2014年3月17日月曜日

シネメディスン



35日午後、NBMの授業の一環として映画を用いた教育を試みた。
 
はじめに「医師のナラティブ」について講義をした。医学生・医師のストレスについて、疫学調査を紹介。研修を開始後、1/3がうつ状態になる。医師の感情労働として、一般診療、救急、看取り、判断・治療ミスなどを取り上げた。先輩たちに臨床実習中に感じた思いを「医療の理想と現実」「医師と患者の考え方のギャップ」「自分の生の感情と医師の役割」に分類して紹介。バーンアウトしないためにも、うまくナラティブを活かすことを説いた。患者と医師との相互作用で生まれるナラティブを同僚と話し合うこと等。
 
その後、シネメディスンの紹介をし、映画批評の概説を述べた。
「ドクター」というウイリアム・ハート主演映画の開始から終了まで123分間分を観てもらった。あらすじは、「恵まれた家庭と高い名声を誇る心臓外科医が、突然癌宣告を受けることで一転、一人の無力な患者になる。患者になってはじめて気づく自分の勤務する病院システムの事務的で冷たい接遇や医師の態度。家族と築けない良好な関係。そんな状況の中で、末期癌患者と出会い、新たな人生の模索を始める・・・」。
 
映画を観て感じたことをレポートして貰った。重篤な病気に罹患しないと態度が変わらない医師のあり方や違和感のある病名告知のあり方等、たくさんの指摘があった。全般的には医師のあり方について学ぶことができて有益であったという意見が大半を占めた。患者体験をしないと本当に患者の気持ちがわからないのか、という点にまで言及する者はなく、その点にまで踏み込んでほしいと感じた。
 
CBTやOSCE合格に追われる学生にとって学びとリフレッシュをもたらす授業であったと思いたい。(山本和利)