札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2014年8月11日月曜日

指導医養成講習会



 72627日、第9回札幌医科大学付属病院 臨床研修指導医養成講習会を企画し、チーフタスクフォースとして参加した。当日、同会場で715から打ち合わせ。受講者は50名。

 

まず三浦センター長挨拶、タスクフォース紹介後、山本和利のリードで「アイスブレイキング」。偏愛マップを使って、雰囲気を和らげた。各班にグループの愛称名を付けてもらった。山下病院長も参加しており、会話も弾んでいた。

 

三浦センター長から「札幌医大の初期臨床研修」の講義。最後にウイリアム・オスラーの生涯を綴った翻訳本を紹介された。

 

続いて北大の川畑秀伸氏の主導で「カリキュラム・プランニング」を150分。後期研修医が学生、初期研修医を指導する屋根瓦方式の教育ビデオを供覧後、各グループ毎に自分たちが行っている研修医教育を紹介してもらった。それを基に目標、方略、評価について、検討し、それの発表が行われた。。

 

第一日の午前の日程を終了したところで、写真撮影となった。

 

昼食後、勤医協中央病院臺野巧氏主導での「研修医評価」をグループワークした。

「一般目標は、初期研修医に必要な内科プライマリケアの知識・次述・態度を身につける」で、それに対する、個別目標を作成する作業をおこなった。次に、その評価方を考えてもらった。評価方法として、目標に合わせた評価方法を選択する必要がある。自施設で行っている360度評価を紹介された。自己省察の大切さを強調された。SMARTを紹介(Specific, Measurable, Achievable, Behavioral, Achievable)。単独で当直ができるかどうか判断するために行っている技能を観察する評価法のMini-CEXを紹介。

 

続いて、松前町立松前病院の八木田一雄氏の主導で「上手なフィードバックをしよう」のセッション。自己分析能力の高い研修医、生真面目だが気づきの少ない研修医、能力以上に自己評価が高い研修医という3シナリオを用いたロールプレイを行った。3人一組でのロールプレイは研修医役、指導医役、評価者役をそれぞれ1回ずつ(緊張しやすく技術が未熟な研修医、当直明けで眠気を堪えて外来研修を受ける研修医、問題をあちこちで起こすのに自信満々の研修医の3シナリオ)。

 

続けて、江別市立病院の日下勝博氏の主導で「5マイクロスキルの実践」セッション。一番の問題は、研修医が考えて答える前に、指導医が答えを言ってしまうことである。今回お勧めのマイクロスキルは5段階を踏む(考えを述べさせる、根拠を述べさせる、一般論のミニ講義、できたことを褒める、間違えを正す)。外来患者シナリオを用いて2人一組になってロールプレイ(シナリオの読み上げ)を行った。最後は、自分たちでシナリオを作成してもらい、いくつか自信作を発表してもらった。

 

 

続いて、「北海道における地域医療の現状と道の取り組みについて」と題したセッションで北海道庁の石井氏が講演された。

 

第二日目は、札幌医大精神科石井貴男氏から「メンタル・ヘルス」の講義を受けた。研修医には様々な立場がある。新社会人、新米医療人、過労労働者、見習い医師である。失敗がトラウマ、不全感、雑用が多い、一貫しない対応等が原因となる。海外では看護師がストレスであるという報告がある。4つのケア:研修医自身で、指導医による、病院全体の取り組み、専門家によるケア、が大切。

医療従事者に起こりやすい心理として、「燃え尽き症候群」と「あわれみ疲労」がある。日本の研修医は他国のそれよりメンタルの問題が起こりやすい。PHQ9で調べると20%が抑うつ状態であった。現代型のうつの紹介(逃避型、未熟型、現代型、非定型型)、これの中にアスペルが―障害が併存していることがある。研修医のメンタル・ヘルスのためには、「気付く、支える、つなぐ」が大切。同僚のサポートも大事。

 

続いて、東徳洲会病院佐土原道人氏の主導で「プロフェッショナリズム」セッションを行った。プロフェッショナリスムを理解するために、SEAを用いて開設がなされた。「研修医との対応で感情が動いた出来事」「プロフェッショナルとして成長したと感じた出来事」フォーマットにかいてもらい、それを二人一組で話し合った。次に、ポートフォリオ教育について、参加者の簡単なポートフォリオ作成をした後、解説がなされた。最後に、ロールモデルの重要性を強調された。

 

昼食後、東京北社会保険病院の南郷栄秀氏の「EBMの教育」。アレルギー性鼻炎にどう対応するかというシナリオでWSが行われた。PICOを作り、実際にコンピュータを使って文献検索して、「治療薬の効果」を評価してもらった。患者の背景、意向を入れた場合、各班はどうするか?

 

最後は山本和利の主導で「ティーチング・パールを共有しよう」のWS。参加者各自が得意ネタで7分間講義を白板で行い、そのやり方へのフィードバックをしてもらった。

最後に総括として、参加者の感想をもらい、受講者代表に終了証を手渡して解散となった。

 

 

カリキュラム作成は初学者には取つきにくいので、講義内容の順番をいれかえるなどして、来年度はさらにブラッシュアップして講習会に望みたい。(山本和利)