札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2013年10月17日木曜日

10月の三水会



1016日、札幌医大で、ニポポ研修医の振り返りの会が行われた。松浦武志助教が司会進行。後期研修医:1名。他:6名。

 

ある研修医の経験症例。糖尿病の50歳代女性患者でコントロールが悪いが、医療費が払えない女性。頻回にインスリンが打てない。寒い日に階段を登っていて胸が締め付けられた50歳代女性。循環器科に紹介したが、どこまで診療所で経過観察するか?両側肺炎の50歳代男性。マイコプラズマの可能性は?頭痛の70歳代女性にトリプタノールを処方し改善。「糖尿病がどうしたらよくなるかわからない」男性患者。入院すると一時的に改善。

 

研修医から振り返り1題。

 90歳代男性。家族カンファ事例。高齢患者、C型肝炎、慢性腎不全、リウマチ患者のターミナルケア。積極的な肝硬変の治療はしていない。韓国で出生。77歳で肝切除。その後、腎機能悪化。一時的に透析を受ける。心不全で入院したが、自主退院。妻一人で介護。訪問介護は拒否し、月2回の訪問診療を受けている。義歯が合わず訪問歯科診療を導入。入院精査を進めたが、拒否。入院時に嫌な思い出がある。

 方針を変えて、自宅で点滴だけを開始した。ここで多職種カンファを行った。

今後起こりうることとして、肝性昏睡、静脈瘤の破裂、特発性細菌性腹膜炎,乏尿を伝える。悪化時の対応を聞き出すと、自宅で看取りたいと。長男を交えた家族カンファを実施。DNARを希望。穏やかな時は自宅で、急変時は救急車要請、透析は行わず。結局TVを見ていて穏やかに死亡した。検案の結果、「加齢による多臓器不全」であった。その後、妻は長男のところに同居。

 

クリニカル・パール:終末期ケアでは家族コミュニケーションが重要である。面談における注意事項もある。医療者の患者、家族とのシステムに組み込まれていることを自覚すること。

 

今回も家庭医の視点で、終末期ケアについての重要さを発表してくれた。