札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2013年12月2日月曜日

北海道の地域医療の発展のヒントを探る


1130日、第1回北海道プライマリ・ケアフォーラムで札幌医大1年生の発表を拝聴した。

 

医学史で扱った若月俊一先生の生涯をまとめて発表した。

劣悪な村の健康状態を知り、出張診療を始めた。

牛の健康診査を参考に、全村民を対象とした健康診断を始めた。

集まりをよくするため、演劇で啓発し、集団検診を行った。若月氏が脚本を書き、職員が演じた。村民の8割が高血圧であった。予防は治療に勝る。7年後には医療費抑制に成功した。

5割を入院に、3割を外来に、2割を公衆衛生活動に充てる。病院際を開催し、啓発を重ね、現在も2万人の参加がある。

医療の民主化も進めた。

日本農村医学会を設立した。国際農村医学学会も主催した。マグサイサイ賞を受賞。

 

若月先生は「人たらし」。魅力に取りつかれてしまう。教育活動、啓発をされた。

 

若月イズムはどうなったか。長野県は平均寿命日本1位、医療費は47位。佐久総合病院は地域医療のネットワークを支えている。地域ケア科(在宅医療を担う)。治す医療から支える医療、寄り添う医療の実践を行っている。健康管理センターを中心に予防活動。保健補導員を常駐させ、若月イズムは継承されている。現在、病院の分割再構築がなされている。

 

学生の感想。

その人たちとの積極的な関わりは予防医学的効果を増進する。住民自らが獲得するもの。専門性と総合性を持った両者のチームワークが重要。地域を知り、地域に溶け込んだ。

 

我々に地域医療へのヒントを与えてくれるのではないか。

 

パネリストから、「学生のレベルを超えた発表である」という賞賛があった。

 

討論

北海道でのヘルスプロモーション

・出稼ぎ健康手帳というものがある。

・仕事をする中で、認知症の患者問題が見いだされ、新たな課題が見えてくる。

・佐久病院におけるネガティブは面がなかったのか、そこが知りたい。

・5割を入院に、3割を外来に、2割を公衆衛生活動は、高度成長時代のモデルであり、現在は2割を入院に、3割を外来に、5割を公衆衛生活動・その他にすべきである。人・地域を看取る必要がある。

 

北海道での地域医療の歴史的変遷とこれからの在り方

・これまでは専門医療を地域に広げてゆくことであった。

・これを変えてゆく必要がある。

・何を目標にするかで方略は変わる。たとえば、受け持ち患者の救急受診が減る、等。

・医療者に対する行政の対応に改善を求めたい。継続性が大事である。

 

最後に発表した学生から、ヴァージョンアップをして次回に臨みたいという意見で締めくくられた。(山本和利)