札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2009年9月12日土曜日

味覚の秋ですが・・・毒キノコに注意!

北海道はもうすでに秋。秋と言えば「実りの秋」「味覚の秋」。道産の採り立てのとうきび(トウモロコシのこと)やじゃがいも、サンマや鮭・いくらはやっぱりおいしい!北海道に住んでいてよかったと思う季節です。
秋の味覚といえばもうひとつ。そうキノコですね。温かいキノコ汁なんかはとってもおいしい。

で、今日は山あいのH病院で週末当直をしているのですが、さきほどこんな電話が。
「うちの母さんが自分で採ってきたキノコを朝食べたらしいんだけど、その後2回吐いて・・・。そしたら知り合いから『あれは猛毒だから食べちゃダメだよ』ってさっき電話があったんです。大丈夫でしょうか・・・?本人はもう元気だって言うんですが・・・。」
「食べたものはまだ残ってます?」
「ええ、まだあります。実は病院のすぐそばの道端に生えてたのを採ってきたって。まだそこにも残ってるみたいですよ。」
「あ、そうですか・・・。じゃ、早速生えてるところで食べたヤツを見てみましょう。」
こうして患者さんとともに現場検証。(写真は「現場にまだ生えていたブツ」と「自宅に残っていたブツ」)
どうやら「テングタケ」の一種だったみたいです。
(いやぁ、毒キノコの現場検証をその場でできるとは・・・地域医療ならではですかね・・・。)

本人曰く「もう吐き気はないけど、なんだかフラフラして少し頭が痛いワァ。」と。
テングタケについて調べると、「症状は食べてから15分〜90分以内に発現し、2~3時間でピークに。めまい、運動失調、痙攣状態が出現する。ひどい嘔吐はまれ」「主な症状は治療しなくても6~9時間で消退(死亡率1%以下)」とのこと。
症状経過としてはだいたい教科書通り。すでに食べてから6時間くらい経過し本人はふらつきと軽い頭痛以外元気だったので、今日はそのまま1日じっと休んで経過を見るようお願いし、特別な処置はしませんでした。

みなさん、キノコ狩りの季節ですが、食べるときは詳しい人によ〜く見てもらって下さいね。

医療関係の方、この季節に胃腸炎症状で受診した患者さんについては「毒キノコによる食中毒」も鑑別疾患に入れましょう。

では。

もりさき