1月18日、札幌医科大学FD教育セミンーでリージョンズ株式会社代表取締役の高岡幸生氏の講演を拝聴した。講義のタイトルは「求める人材像のアセスメントと面接技法について」で、サブタイトルは「入学者選抜が変われば、大学が変わる」である。いつもはワークショップ形式が多いようだが、今回は講義形式である。人材紹介業、転職希望者の就職先を探す仕事を通じて、経験豊富な面接を体験して裏付けられた話で非常に参考になった。
採用、入学者選抜が変わると組織が変わってゆく。
テーマ1.大学経営の答えは優秀な学生の獲得力にある。
テーマ2.組織の哲学が誰を入学させるかを決める
テーマ3.失敗しない面接のポイント
前説
会社リクルートは採用に膨大な金額を使った。自分より優秀な人材を獲得する。1年間に600名と面接した。そこから分ったことは、「答えは過去にある」である。事実ベースで類推し判断する。学生の品質を高めることが大学の品質を高めることである。落ちる人がほとんどである。落ちた人の印象も意識する。育成すればなんとかなるとい考えは、間違えである。人間の考えは変わらない。
まず札幌医科大学の場合、「良い学生」の定義を決めることが重要である。大学の哲学・建学の精神に合うかを見る。面接官の思いも影響する。(人材を集める。錐もみ式が大事。今回は触れず)
人材を見極める。哲学に合うか。環境適応性を見る。
札幌医大の建学の精神から抽出すると「思いやり」「命を尊ぶ心」「探究心・想像力」「倫理観」「貢献する意志」「視野」「意欲」が挙がる。
3つの情報カテゴリーがある。
1)言語情報
・事実情報(過去の事実):人間は過去の囚人である。事実(数字、名詞)を具体的に聴き出す。如何に魂を磨いてきたか聴き出す。濃い人間関係を聴く。幼少期・小学校から現在に至る歴史を聴く。一番打ち込んできたものを深く掘り下げる。受容と尊重も大事。理解と共感。タイミングのよい反応力が大事。相手にいい人生を送って欲しいと心底思うこと。聴き方のポイントは「なぜ」「どうして」と訊く。不明確な点を率直に訊くと地の言葉が出てくる。
知識・業績・資格のみで採用しないことが重要。どういう考え方をするか・行動するかが大事。入学してから如何に伸びるか。一番大事なのは生きる動機(思考・価値観)。心のいい人が大事。いい人は、子供の時にいい大人に会っている。
2)意味情報(類推できるもの)
3)非言語情報:応募者の動作(会った瞬間の印象)
この3つを総合的に判断する。会って、会話して、別れるまでが面接である。時間内で判断する。迷ったらマルにしない。JALの稲盛和夫氏に訊いた「人材をどう見抜くか?」答え「まじめで謙虚な人」。
失敗例
「印象で評定する。」「ひとつの特徴のみで評価する。」「ひとつの特徴を一般化して評価する。」「ステレオタイプに左右される。」「血液型で判断する。」「自分自身と比較する。」「個人的な好き嫌いで評価する。」「無難な評価をする。」
失敗しない面接のポイント
「本人に責任のない事項(国籍・出身地)を訊かない」「家庭環境を訊かない。」「宗教を訊かない。」「性差別的質問はしない。」
避けたい人材
「他責傾向のある人」「素直でない人」「やさしさがない人」
講義終了後、たくさんの質問が出た。よい講義であった証拠であろう。
今回わかったこと。
1)学生に地域医療に対する情熱を聴いても意味がない(試験対策の蘊蓄を述べるだけで時間の無駄)。
2)それより過去に情熱を傾けたことについてとその理由を訊いて掘り下げる。
3)これまでに会った素敵な大人について尋ねること。(山本和利)