『ゴダール・ソシアリスム』(ジャン=リュック・ゴダール監督:フランス 2010年)という映画を観た。
三楽章のシンフォニー構成。第一楽章は<こどもの事ども>、第二楽章は<どこへ行く、ヨーロッパ>、第三楽章は<われら人類>。
観終わった感想は、観る前に予想した通り「わからない」である。映像が美しいわけではない。逆にあえて醜くしている感がある。音楽も使われているが、突然、ノイズが入ることもある。
セリフも映像も多数の引用から成っているらしい。パンフレットを買って識者の感想を読んでみると、様々な賞賛の声が寄せられている(もちろん出版バイアスはある)。
ゴダールの域に達すると、観る者が深読みをしてくれるのであろう。自分自身の知識で如何に深読みできるかが作品の評価を決めることになろう。多くの者には退屈で面白くなくてDVDでは見続けることはできないだろう。
わからないという状況を体験し、もう一度自分自身の知識を見直したい者には、一見の価値はあろう。(山本和利)