札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年2月18日金曜日

ピープル・スキル その5

『ピープル・スキル 人と“うまくやる”3つの技術』(ロバート・ボルトン著、宝島社、2010年)の第5回目。

第12-14章「対立解消スキル」
人間生活に対立はつきものである。対立は避けられない。対立は関係を破壊する。
「現実的な対立」と「非現実的な対立」があり、それを区別しなければならない。前者は、要求、目的、価値観などの対立であり、後者は無知、誤解、伝統や偏見、欠陥のある組織構造、敵意などから生まれる対立である。

対立解消ポイントは、1)敬意をもって相手に接すること、2)相手の立場を理解するまで話を傾聴すること、3)自分自身の意見・要望・感情などを表現すること、である。

シェークスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』に書かれた古代ローマ・アントニーのケースを挙げている。アントニーは上記の3つの技法を用いて答弁してこの難局を乗り切ったと。
対立には3つの種類がある。「感情の対立」、「価値観の対立」、「要求の対立」。これらに対して協調型問題解決法を推薦している。

1)要求という点から問題の本質を明らかにする、2)解決策についてブレインストーミングをする、3)当事者双方の要求を最も満足させる案を選ぶ、4)誰が、何を、どこで、いつまでに行うかを計画する、5)計画を実行する、6)プロセスを評価し、後日効果を検証する。

コミュニケーションに大切なことは、次の3つである。「誠実さ」、「無私の愛」、「共感(empathy)」。無関心(apathy)でも同情(sympathy)であってもいけない。「同情」は相手の「ために感じる」ことで、人を見下すようなものになりやすい。客観的な立場が弱まり、いざというとき行動に移りにくい。
共感の3要素。1)適切な距離を保ちながら相手の感情を正確に理解すること、2)その「感情」を引き起こした状況を理解すること、3)自分が受け入れられていると相手がわかるようなやり方で接すること。

「いうは易く、行うは難し」、そんな印象を持った。皆さんはいかがでしょうか。(山本和利)