5月21日、札幌市で開催された日本糖尿病会の「糖尿病SU二次無効の次の一手は」というDebate sessionを拝聴した。
<インスリン>
中村直登氏。足らないものを補う。ADAのアルゴリスムでもそうなっている。安全性が確立している。GLP-1受容体作動薬は膵炎、膵がん、甲状腺がんが多いという報告もある。インスリンから切り替えて2例のDKA死亡例が報告された。併用薬に制限がある。SU薬と併用で低血糖が起こることがある。消化器症状を起こしやすい。時間経過で少し悪化傾向が見られる。
一方インスリンは、確実な血糖低下作用が期待できる。様々なレジメがある。豊富な臨床データがる。早期導入により膵β細胞機能維持効果がある。経口薬と併用可能である。謀無難な持効型インスリン少量を追加するのがよい。
<GLP-1受容体作動薬>
山田祐一郎氏。血糖値を下げるのにインスリンに勝るものはない。確実、継続的、個別対応できる。ACCORD study でHbA1c:6.0%を目指したが総死亡が増加した。平均血糖値降下だけでは駄目である。高血糖、低血糖を避けることが大切。そのためには生体内のインスリンを利用するのがよい。二次無効には質的な障害も考えられる。食事量に応じたインスリン分泌が期待できる。そして血糖値の変動幅が小さくなる。インクレチンとグルコースとが協調してインスリン分泌を促進する。食欲を抑制する。胃の動きを止める。その結果、体重が増加しない(減らす)。
GLP-1受容体作動薬の安全性が保証されれば、大きな威力を発揮する薬になるであろう。インスリンと併用できるようになるのだろうか。(山本和利)