『レンタル・チャイルド 神に弄ばれる貧しき子供たち』(石井光太著、新潮社、2010年)を読んでみた。
インドの路上で生きる子供たちを取材したノンフィクションである。
親のない子供たちは、家もないので、路上で日々生き延びていかなければならない。ゴミを漁りそれを食べながら物乞いをする。物乞いの収入を上げるためには、通行人の哀れみを誘うことである。そのために、片眼にさせられたり、片腕、片足を切断されたりする。また、赤子を抱いていると物乞い収入が増えるため、子供が貸し出される(レンタル・チャイルド)。最後には死体乞食(死体を引き回して薪代を物乞いする)になってゆく。
時代の荒波に飲まれて、路上の貧しい少年は「路上の悪魔」に変身してゆく。そんなインド、ムンバイの路上で生活する子供たちを10年間追跡した記録である。
絶対的な貧困が蔓延する世界。豊かな日本に居て、私に何ができるのだろうか。(山本和利)