『クレアモントホテル』(ダン・アイアランド監督:米国・英国 2005年)という映画を観た。
老いた未亡人がロンドンの時代に取り残されたホテルに長期滞在する。宿泊者の関心は、誰に誰が訪ねてくるかである。しかし、彼女には親戚も友人も誰も訪ねてこないため、寂しく時が過ぎてゆく。そんなある日、道ばたで転んだことをきっかけに小説家志望の青年と出会う。その青年に事情を打ち明けて、孫のふりをしてもらいホテルに訪ねてきてもらうように頼み込む。そうなった途端、実の娘や孫が突然現れて、話が紛れながら進んでゆく。
これは孤独を扱った映画である。自立して生きることの喜びと少しの悲しみを描いている。映画の中で『逢い引き』という映画を青年に紹介する。それをきっかけに青年が女性と巡り会う。
老後をどう生きるか、問いかける映画でもある。(山本和利)