『ソウル・キッチン』(ファティ・アキン監督:ドイツ・フランス・イタリア 2009年)という映画を観た。
これまで『愛より強く』『そして、私たちは愛に帰る』で許すことの大切さを切々と訴えたファティ・アキン監督の最新作は、何と喜劇である。喜劇は軽く観られがちであるが、実は高い技術が求められる。日曜日のミニシアターは満席状態である。
料理と音楽が楽しめる映画である。出身がトルコ系ドイツ人ということもあって、多国籍な音楽が満載である。
ファースト・フードしか出さない店に、すぐ気持ちが切れてしまい一流料理店を首になった凄腕の料理人が来る。そこに音楽家や税務署、地上げ屋、食品衛生局などがドタバタと出入りがあり、話が進んでゆく。
前作とは異なった味わいのある喜劇であり、時間を忘れさせてくれる至極の映画である。(山本和利)