第9章 本書の結論である。
■ 患者主体の診断の目指すところは、患者から直接得られた情報を解釈し、合理的に適用することにある。
■ 診断過程に患者を取り込み、患者の視点から損得を考慮して慎重に精査をすることを強調したい。
■ 患者主体の診断はPC文脈に合うような最良のエビデンスに基づいてなされるべきである。
■ エビデンスに限らず臨床経験や臨床の知恵も含まれる。
■ 不確実な状況に怖じ気づいて、闇雲に検査に走ると問題にある。
■ 「あなたの気持ちを聴くような機会を医師は提供してくらますか」という質問は大事。
限られた医療資源を有効に使うために問いたい
■ 健康管理行政官は新しい診断機器を導入するよりも、患者との時間を増やすことに予算を増やすべきではないのか。
■ 高度医療等は他の専門家に任せて協力を得ながら、PC医自身はもっと患者主体の診断に焦点をあてるべきではないのか。
本書はプライマリ・ケア医が診療する際に重視すべきことが、科学的根拠を示しながら論理的に述べられている。機会があれば、是非翻訳して出版できたらと思っている。(山本和利)