札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年3月29日火曜日

プロフェッショナリスム

3月29日、東京医療センターの尾藤誠司氏に、昨年に続き札幌医大の新5年生を対象に医学概論Vのプロフェッショナリスムの講義・WSをいただいた。まず、ご自分の経歴を披露。ここの総合内科はベッドが130床であり、診療と教育に従事。

12班に分かれて、グループ討議が開始された。ワークショップ形式で、和気藹々とした雰囲気の中、授業が進められた。先生からミニレクチャーを入れながら、「専門職に課せられるもの」「よい医師とはどんな医者か?」などを考えてもらった。

中略(外来に山本和利が呼び出されため)・・・・。2010年3月のHP記事を参照のこと。

専門職にとって「自分は何ができるか?」「自分に何ができるか?」の違いは何か。自分中心か、患者中心か。「患者のための医療」(してあげる)、「患者の立場に立った医療」(させていただく)は理想の医療か?患者のためにならないこともある。「パーターナリズム」対「説明的関係」。インフォームド・コンセントと時代。「お互いが信頼し意見を交換できる健康な医療」を目指したが医療者が委縮し始めている。少し医療者のレベルを上げてゆく。

途中、映画の「赤ひげ」「ディア・ドクター」を推薦。ロックバンドBump of Chickenのギルドという曲を推薦。仁術と親心。ゆれる医療専門職の意識。実際の臨床は、科学的な内容と物語的内容が混然一体になっている。糖尿病のACCORD研究を紹介(統計的に有意といってもその差はわずか)。

話は医療界から離れて、「手作り自転車に、心をこめて」障害者の方に儲からない自転車を作り続ける堀田健一さんの話。20歳の誕生日に首輪を外すか外さないかで悩む「首長族の娘」の話。見えているが、見えていないことがある。

最後に学生へのメッセージ:「もはやヒポクラテスではいられない」時代で、医師にすすめたい毎日の習慣。

「さっきの私どうだった」(批判を受け入れる態度)
「あしたはこうしてみよう」(常に変わってゆく)
「ちょっと助けてほしい」(一人で頑張らない)
「服脱いじゃう」(鎧を減らす)
「あなたのこと、わからない」(訊かないとわからない)
「ありがとう、ごめんね」(素直になる)

「揺らぎながら、ともに成長する」。

尾藤先生、楽しい講義、ありがとうございました。