3月7日、NBMの授業の一環として映画を用いた教育を試みた。これまでの授業の流れは次のようである。
1.NBM概論
斎藤清二:3時間
2.患者のナラティブ
山本和利:3時間
3.患者の病いの語り
寺田 豊:3時間
4.医師のナラティブ
山上実紀:3時間
5.シネマ、総括
山本和利:3時間
今回は「ドクター」というウイリアム・ハート主演映画の開始から40分間分を観てもらった。(恵まれた家庭と高い名声を誇る心臓外科医が、突然の病に倒れることで一転、一人の無力な患者になる。患者になってはじめて気づく事務的で冷たい病院システムや医師の態度。家族との頼りない絆。そんな状況の中で一人格闘を続ける・・・)。
学生に感情を揺すられた場面にタイトルをつけてもらい、感想を求めた。
学生Aのタイトル「科学者として、哲学者として」・・・患者・医療者に限らず、人は本当に常に書き換え続けられる1冊の本のようだと感じました。映画の主人公もこれから新たな物語を作ってゆくのだと思います。患者さんの物語の良き登場人物として、また全体の進行を観察する冷静な書き手として臨床で患者さんとお会いできたらと思います。
学生Bのタイトル「derection(方向)」・・・医師に必要なスキルはやはり“コミュニケーション能力“、それも”患者方向へのコミュニケーション能力“が大切なのだ。その能力がないと、患者への理解や共感ができないばかりか、自分自身のことも理解する機会を失っているのだろう。・・・NBMの5回の授業を通じて、患者さんの話を聴いて本当に素晴らしい体験をすることができた。科学的で人間的な二つの側面が求められるこれからの医療について5・6年生の実習では実際に肌で感じながら考えてゆきたい。
学生各自が様々な気づきを書き綴っている。映像による教育力のすごさを実感した一日だった。(山本和利)