3月6日(日)13:00~北海道医師会館で北海道プライマリ・ケア研究会第53回学術集会が行われました。総会後の学術集会で一般演題「札幌医科大学総合診療科外来初診患者の動向」を発表させていただきました。感想などを交えて以下に報告します。
札幌医科大学附属病院は、大学病院・特定機能病院である一方で、地方都市の市街地にある大規模な総合病院としての性格も有しており、高度先進医療とあわせてプライマリ・ケアを担う医療機関です。大学病院を受診する患者さんのほとんどは専門診療を希望して来院すると一般的には考えられますが、現在の日本の医療制度のもとでは、風邪を引いたと訴えて大学病院へ受診する患者さんもいます。今回、我々は2010年4月~12月の期間で、プライマリ・ケア国際分類(International Classification of Primary Care:ICPC-2)を用いた受診理由のコード化を行い、大学病院における総合診療科の役割を検討しました。
初診患者総数は400名を超えており、やや女性がやや多い傾向でした。また幅広い年齢層の患者さんが受診されていることが分かりました。ICPC-2コードによる受診理由は発熱(熱っぽいも含む)が最も多く、次いで倦怠感、頭痛であることが分かりました。半数以上の方が当科で診療終了または当科再診となっておりますが、院内専門外来や他院紹介となった方も多くいらっしゃいました。主訴が多様で院内紹介の難しい患者さんも多く、十分な医療面接を行うことで適切な紹介、他科との連携が可能となっていること、またじっくりお話を聴くことで、高い患者満足度につながっていると推測されました。今後もさらに多項目でICPC-2のコード化を行い、総合診療科初診患者の解析・検討を深めていこうと考えております。
計6演題、最後の発表者となり、とても緊張しました。一般演題発表後、特別講演で我妻病院の池田先生が「地域医療-地域のプライマリケアとターミナルケアを支えるケア-」を御講演されました。地域だからこそできる豊かなEnd-of-life care、地域で命を看取るということ、「プライマリケアドクターこそターミナルケアを」と話される先生の言葉を耳にして、心が奮い立ち、とても感動しました。 あっという間でしたがとても有意義な研究会でした。(河本一彦)