6月4日、診療支援をしている病院の研修医3名に「治療閾値」について講義をした。(外来診療教育も行っているが、急速にレベルが上がってきている)
「診断はある一つの疾患であるかどうかに的を絞る.方略は治療をするか,しないかの選択肢のみとする.」と仮定して話しをすすめた.その治療に関わる分岐点の値のことを治療閾値(t)と呼ぶ.今回はこの求め方について解説した.
治療閾値(t)は治療で得られる利益(Benefits: B)と不利益(Costs: C)の割合によって決まる。BとCとで書き換えるとt=C/(C+B) または t=1/[(B/C)+1]と表すことができる。
「B/Cすなわち損失に対する利得の比率が大きければ,病気の確率が低くても治療を選択し、患者への利得が少ない場合はかなり病気の確率が高くないと治療を選択すべきでない」という常識的な答えが導かれる。
中級編として、複数検査を行ってその結果が陰性と陽性に分かれたとき、どのように判断するか?
決断科学の文献や教科書に載っている解答を提示した。これも常識的な答えが導かれる。
研修医たちが私の講義や指導を楽しみにしているのがヒシヒシと伝わってくるので、やっていて大変楽しい。ナラティブの話もしたいし・・・企画は膨らんでゆく。(山本和利)