札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年4月25日月曜日

君を想って海をゆく

『君を想って海をゆく』(フィリップ・レオレ監督:フランス 2009年)という映画を観た。

英国で暮らす恋人に会うために、行き場を失ったクルド人青年がドーバー海峡を泳いで渡ろうとした話である。離婚を希望する妻の気持ちを引きとめるためにその青年の水泳指導を引き受けた中年男性に、父子にも似た感情が芽生えてくる。この映画はフランスで大ヒットし、移民担当大臣を巻き込んだ大論争が勃発したそうだ。映画の中でも描かれているが、難民を手助けしただけで市民が警察に尋問される法律があるようだ。密入国をしようとする場面で、当局の二酸化炭素の探知機や密入国者が察知されない様にビニール袋をかぶって耐えるシーン等にリアリティがある。

フランスはロマ人(ジプシー)の「自主的帰還」という措置も行っている。日本ではミャンマー難民の受け入れを2010年9月28日より行ったそうだ。

この映画は難民に対する「不寛容」を描いている。別の映画『扉をたたく人』のテーマも同様である。東日本大震災後に日本中で助け合いの輪が広がっている。我々は誰を受け入れ、誰を(無意識に)排除するのか、今問われている。(山本和利)