札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年4月22日金曜日

2型糖尿病のケア

4月21日、PCLSで「2型糖尿病のケア」の講義を行った。その要点は次の通りである。

包括的な評価として、病歴、身体診察(身長、体重、血圧(立位も)甲状腺、皮膚、血管拍動、反射、深部知覚)、血液検査(HbA1c,尿たんぱく、脂質、肝機能、腎機能)、専門医への紹介(眼科、若年女性:家族計画、歯科、精神科(必要なら)が大切である。

参考までに、Clinical Trial in Type 1 Diabetesを示した。
1)Diabetes Prevention Trial-1
2)The Diabetes Control and Complications Trial (DCCT)
3)Immune intervention trials in new-onset type 1 diabetes

Clinical Trial in Type 2 Diabetesとしては、
1)The Diabetes Prevention Program
2)Kumamoto study
3)The United Kingdom Prospective Diabetes Study (UKPDS)
4)The Steno-2 study、5)ACCORD, ADVANCE, and VADT studies、がある。

最近の研究からいえることは、2型糖尿病の発症早期は厳格な血糖コントロールを目指す.発症から10年以上経っているコントロール良好例も,そのまま厳格な血糖コントロールを継続する.しかしながら発症から10年以上経っているコントロール不良例では,血糖コントロールよりも血圧コントロールや脂質低下療法,アスピリン投与など集学的治療に重点を置くべきである。特に高齢者の場合は,低血糖を回避し,HbA1c 7.0~8.0%程度を治療目標とする.

最後に、千葉県立東金病院平山愛山氏の「ITを活用した少子高齢化時代の地域医療のあらたな挑戦」を紹介した。疾病構造と人口構造の変化を考えることが重要である。これまでは医療提供側からの提案だけであった。これは全体最適の手段であるが、それだけでは不十分である。糖尿病は20年間で3倍増えた。高齢者のインスリン導入が増加している。専門医による診療の破綻しており、非専門医への技術移転をする必要がある。市町村の医療財政は急激に悪化し危機的状況である。この10年間が正念場である。心血管系の合併症が増加する(人工透析も)。糖尿病、高血圧がその基礎にある。

そこで、糖尿病患者には診療連携パス(ミニマムデータセット・HbA1c、eGFR、尿タンパク、LDL-C、頸動脈エコー)とマップ(地域全体患者のトリアージ)を把握する必要がある。

提示症例や治療法についてここでは割愛した。

今後の課題として、ネットワーク勉強会をさらに発展させて、専門医と総合医の連携システムを構築し、医療の質の改善に取り組む必要があろう。(山本和利)