札幌医科大学 地域医療総合医学講座
2011年4月11日月曜日
ありあまるごちそう
『ありあまるごちそう』(エルヴィン・ヴァーゲンホーファー監督:オーストリア 2005年)という映画を観た。
徹底した利益追求と経費削減が世界中に蔓延し、需要の供給のバランスを崩し、世界中で貧富の差が広がっている。
この映画を観ると、世界が飢えてゆくメカニズムがわかる。人類は今や120億人を養えるだけの食料を生産しながら、毎日10万人もの人が餓死し、10億人が栄養失調になっているという。世界中の大都市で大量の食糧が毎日捨てられている。日本人が廃棄している食糧(一般家庭から1100万トン:2005年)は、途上国の約5000万人分に匹敵するそうだ。ブラジルのある地区では食べ物がなく汚れた水を危険と認識しながら摂取している。一方で、まだ食べることのできるパンが毎日山もように棄てられている。
映画は漁業や農業、酪農等の生産現場に密着して、レポートされている。何万羽もの鶏が生産ラインにのって消費者にわたる形の商品になるまでの10分近く続く流れ作業が生々しい。
東日本大震災の被災地のような状況が世界の各地で日々続いているのだ。(山本和利)