6月26日、第1回プライマリケア連合学会学術大会。「家庭医療学の理論的基盤」について2時間の講義。自己紹介後、聴講者に2人一組になってもらい、拍手・ハイタッチをして自分のハマっていることを話しながら自己紹介し合ってもらった。雰囲気が和むのが伝わってくる。事例について話し合いを入れながら、講演を進めた。
医療のパラダイム変化、家庭医療学の歴史 、家庭医療学の基本原理(総合医・専門医を巡る勘違い、受療行動、コミュニケーション技能/医師・患者関係、癒しのプロセス、患者中心の臨床技法、予防と健康増進、家族と病気)等を話した。
家庭医療学の基本原理
1.家庭医は病気よりも人そのものに関わる。(康問題に限らない。病気を治したことで関係性は終わらない)
2. 家庭医は病気の背景を探る。
3. 家庭医は、疾病予防や健康増進の機会と捉えて患者の関係者と接触する。
4. 家庭医は、診療の場で得たものを患者が所属する集団にも当てはめて考える。
5. 家庭医は自分自身を,健康を司るコミュニティの一員と見なす。
6. 家庭医は、できれば患者と同じ生活習慣を実践する。
7. 家庭医は患者を在宅でケアをする。(知らぬうちの病気の背景を理解する)
8. 家庭医は、患者の訴える主観的側面を重要視する。
9. 家庭医は限りある資源を有効に利用する。
その中でbiopsychosocial modelの提唱者のGeorge L. Engelを紹介。(he need for a new medical model: a challenge for biomedicine. Science 1977;137:535-44)
最近の理論Joachim P Sturmberg ( The Foundations of Primary Care)も紹介。
自治医大の卒業生や顔見知りの先生方がたくさん聴講してくれた。自分自身にとっても家庭医療学の重要性を再認識する機会となった。このような機会を与えてくださった内山富士雄先生に感謝いたします。一日も早い回復を願っております。(山本和利)