札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年6月28日月曜日

卒前におけるプライマリケア教育

6月26日、第1回プライマリケア連合学会学術大会。前野哲博教授の司会でシンポジウム開始。3/4の大学で地域枠学生を採用し、今年度は1,027名となった。地域医療に追い風が吹いている、と。大学の問題や自治体の問題の提示して演者にバトンタッチ。

  高知大学の阿波谷敏英教授。家庭医道場を年に2回、学生が実行委員会を作って運営している。延232名が参加。学生からの評判はよい。土佐山へき地診療所を指定管理としてそこで教育。幡多地域医療道場もある。課題としては、学外の善意に支えられていること、宿泊・移動の経費が問題。教育の効果として、地域志向性を測定することの困難であり、将来地域への定着は不確実である。ウルトラマン型(医局派遣。1年。スーパーマン的活躍を期待される。燃え尽きる。)からアンパンマン型の医師を地域に定着させたいという意見はユニークであった。

  聖マリアンナ医科大学の亀谷学教授。選択講義「家庭医療」について解説してもらった。翻訳した「プライマリケア何を学ぶべきか」という本を基に授業を構成。受講前後で家庭医療のイメージが変わったことを報告。症例シナリオを挙げて、どの科に診てもらうかを問うと講義受講後で家庭医を受診させるという意見が増え、専門医を受診させるという意見が減った。家庭医に対する認識が大きく変化するので、講義形式であっても有効であることを提示してくれた。

  森崎龍郎医師が札幌医科大学の地域医療実習について、まず変遷から説明。はじめは総合診療科の外来実習。2003年度から地域の第一線医療機関へ1週間。2006年から2週間。健康教育。ときに農作業などもしている。実習後で地域医療に対する評価は上がる。実習への満足度は高い。現在は必修実習で2週間。34施設の協力。学生の希望を考慮して割り振る。ポートフォリオの作成、日々の振り返り、地区視診、Significant event analysis。(人の死。病状説明。患者の仏雑な背景。失敗。患者との関わり、初診患者の診察。一連の臨床経過を診る経験。)患者・コミュニティに関する気付き(訪問診療、救急外来、慢性期病院の病棟)、ミニ研究、ライフストリー聴取、パラレル・チャート等を課題としている。これらの実習を最終日に振り返りをしている。評価はこれらにOSCEを加えている。このような実習は基礎的な卒然教育として重要な場であるとまとめた。

  筑波大学(水戸地域医療教育センター)の小林裕幸准教授。市中病院で教育。総合診療科を核に教育。ミニレクチャーを行っている。チーム医療のやり方を説明。電子カルテに記載させている。研修医レベルの要求を学生に求めている。プレゼンテーションを重視。症例を選択しての外来教育。二人一組で行う。身体診察教育を重視。学外でロールモデルの場を提供。
  その後、医療経済的視点、地域へ送り出すときの言葉等、フロアから活発な意見が出された。情報交換だけでなく交流の場としても有意義であった。