6月26日、第1回プライマリケア連合学会学術大会。伊那市国保美和診療所の岡部竜吾先生の講義を聴いた。漢方は「仮想理論モデル」であるが、西洋医学で説明できない病状も漢方では説明できることがある、と。患者に共感し、一生懸命に関わってゆくことで「心身一如」「人を診る」漢方を広めてゆきたいと。ただし、西洋医学の視点も忘れず、両者をうまく使い分けることを強調している。漢方の副作用にも触れられた。「黄」がつくもの(エフェドリンを含むため)、「附子(トリカブト)」(しびれ、不整脈)、「甘草」(偽性アルドステロン症)に注意。
漢方薬としては大建中湯、六君子湯を紹介。「脾胃が弱い」ものに効く。胃腸機能を高める。名人は少ない薬でたくさんの症状に対応する。
「地域をみる」話題では、BPPVと気候変動の関係を話された。天気が崩れる前に頭痛、めまいが起こる症状(「ふりけ」)に五苓散が効く。診察室は住民にとって非日常的な場所である、と認識することを強調された。
「気の里構想」を打ち出し、ボランティアの活用等で地域づくりに関わっている。
単に漢方薬の使用というような話に終わらず、漢方を通じての地域づくりをするという非常にスケールの大きな講演であった。(山本和利)