札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年6月25日金曜日

統計の話

 6月23日、プライマリ・ケア・レクチャーシリーズで「文献の批判的吟味」の講義をした。TV会議システムもソフトがversion upされた。詳細はホームページからダウンロードしてください。統計のことを中心に話をした。

統計処理で用いられる10のだましのテクニック
1.コンピュータにデータを入力し、P<0.05になったところで統計的有意として報告する。
2.比較する両群のbaseline dataに差があっても補正しない。
3.正規分布しているかどうかチェックしない。
4.脱落群は無視する。治療を受けた対象だけを分析する。
5.x軸とy軸の相関をみて、相関係数rを求める。統計的に有意であれば因果関係があるとする。
6.外れ値が計算を台無しにするようなら、それはないものとして計算する。逆に、外れ値が自分の思っている結論に役立つようなら、疑わしいものでも残す。
7.2群の差をみた値の95%信頼区間に0が含まれる場合には、95%信頼区間を記載しない。(本文では簡単に触れるが、グラフには入れず、結論でも無視する)
8.6ヶ月予定の2群比較試験で4.5ヶ月で有意差がでたら、試験を打ち切り、報告する。
 6ヶ月終了予定時で統計学的有意差が今一歩の場合には、もう3週間試験を続ける。
9.結果が思わしくない場合には、特殊なサブグループで有意差がないか検討する。
10.始めに計画した統計処理で結果が思わしくない場合には、有意さがでるような別の統計処理を行う。

このようにならないようにしてください。

中略・・・。

最後に症例数決定に必要な情報を計算式で示した。
1. 検出したい差
 臨床的に意味のある差
2. エンドポイントの散らばり
3. 統計的過誤率
 αエラー:通常5%
 βエラー:通常20%を決めると計算できる。
当該患者のこれまでの1年以内死亡率は30%であり、新薬で20%以内に抑えることが期待されるとする。新薬群:対照群=1:1とすると294人が必要である。

当該患者のこれまでの1年以内死亡率は30%。うまくすると15%まで抑えられるかもしれないと想定すると、必要な患者数は112人となる。

読者が研究を行う際の参考になればうれしい。(山本和利)