5月28日、札幌で研修中の若手総合医の勉強会に参加した。はじめに熱傷の処置についての講義があった。10歳以下の子供の熱傷の原因は料理の手伝い中、親が抱っこしての飲食、カップラーメンをこぼした後に子供が這う、アイロンに触った、花火で、ライターで、等が多い。処置として、服はできれば脱がす。12度のぬるま湯で15分から3時間冷やす(氷水はよくない)。I度熱傷ならアロエは有効。乾かさないで被覆させておく。進行性なので深度の断定はしない。
局所療法。創の被覆が第一である。ワセリンとラップで十分。浸出液が多い場合はポリウレタン。ガーゼはよくない。治りが悪い。顔面熱傷には薄いハイドロコロイドを用いる。浸出液は水で流す。治っても半年ほど色素沈着予防のため日焼け止めが必要。処置の基本。毎日シャワーで流す。石鹸でこすらない。ふやけて剥がれてきたら交換する。水泡は破らない方が治癒は早い。3cm以上は穿刺する。破れた水泡膜は取り除く。知っていると便利な知識。ワセリンはオリーブオイルで落としやすい。手掌の熱傷には外科手袋の利用が便利。予防も重要。子供だけで台所に入れない。飲食をしながらの受け渡しをしない。キャンプ、バーベキューは要注意等。
次は症例検討。「専門医で診断がつかず紹介となった一例」である。徐々に進行する嚥下困難が主訴。患者さんから「総合内科は最期の砦」と言われた。食べると嘔吐するため4カ月で6kgの体重減少もでている。時間経過に沿って鑑別診断や必要な検査法が問われた。
嚥下障害を起こす疾患をレビューしてくれた。固体のみは機械的閉塞を疑う。発表した研修医のclinical pearl。「頻度、緊急度、重症度の高い疾患を常に念頭において鑑別診断を考える。鑑別の第一歩はやはり病歴と身体診察から。」
このような勉強会を通じて総合医のレベルを上げ、社会にも認知してもらうようアピールしてゆく必要があろう。(山本和利)