5月22日、砂川市立病院の内海久美子先生のお誘いを受けて北海道BSAP研究会の第2回世話人会に参加した。BSAPとはBPSD(認知症に伴う周辺症状)Support Area Projectの略である。自己紹介を拝聴すると、メンバーは脳外科医、内科医、家庭医、精神科医、神経内科医、グループホーム代表など専門領域は様々である。この会はBPSDの診断・治療・啓発活動を推進する医師やチームを育成することを目的として立ち上げたプロジェクトである。そしてこの活動を全道に普及し、地域の精神科の医師とかかりつけ医との連携をできるような関係性を構築することも目的としている。
会議の中で当教室が関わっているPCLSで情報を発信したいという提案あり。2年間のモデル事業として砂川市立病院が認知症疾患医療センターになる予定だそうだ。三愛病院(登別市)と道央佐藤病院(苫小牧市)が病院群として登録される。地域に偏りがあるようだ。全国で60数か所が登録されている。現在の診療に関する問題点。認知症の指導料は数年前に打ち切られて、労力に比して割りが合わない。紹介できる医療機関がない(専門病院は3-6カ月待ち)。精神科で認知症を専門としている医師が少ない(統合失調症、気分障害を専門にする医師が多い)。在宅で如何にBPSDを起こさせないかが重要。認知症病棟は定額制なので身体合併症のひどい患者さんは精神科では原則受け入れない(肺炎など簡単な疾患は身体合併症加算が取れる)。肺炎予防には口腔清拭が重要。若年認知症の診断、家族支援が問題。医師とグループホームとの連携が重要。精神科に入院すると尊厳が失われるような対応がまだ行われることがある。今後さらに独居老人、老老介護が問題となろう。
今後の活動方針。認知症について学習したい医師は少なくない。事例を研究するのがよい。各地区の核となる精神科医には関わって欲しい。まずは医師を対象とする。その後にコメディカルへ広げてゆく。かかりつけ医意見書が書けるようにする。どこで専門医に引き継ぐのか理解してもらう。第一回目を旭川市で行う予定。20名の参加を目標とする。医師会の後援を得る。今後は「北海道認知症研究会」として活動を行うことになった。(山本和利)