5月8日、父の米寿のお祝いを父・姉の住む西伊豆で行った(仲田和正先生の働く西伊豆病院は1km以内である)。子供夫婦とその孫・配偶者等10名が北海道や大阪から駆けつけてくれた。耳の遠い父に聞こえているのか気にしながら長男である私がお祝いの言葉を述べた。父のお礼の言葉は思ったより短かった。伊豆の海鮮料理に舌鼓を打ちながら子供時代の話に花が咲いた。弟から話される内容は思いの外忘れていることが多かった。ジフテリアで隔離入院されられたこと、海や山で怪我をしたこと、いつもキャベツ炒めを食べていたこと、カレーの肉がイルカの肉であったことなど、懐かしい。
父が捕ってきたマムシを干して、それを粉にして元気になるよう毎日飲まされたこと、ニンニクを焼いて食べさせられたことなど、医療人類学的な見地から見ると面白い健康信念に基づいた母親の行動などを思い出した。
血の繋がった者たちが久しぶりに集まって言葉を交わすことで、私自身リフレックスできた。今回の経験を通じて、患者さんから家族のことを聴くことは医師が考える以上に患者さんにとって重要な意味があるのではないかとあらためて認識させられた。
(山本和利)