5月7日、4年生に臨床研究の講義をした。内容は4月15日に行った大学院修士課程の「臨床疫学入門」とほぼ同じである。
はじめに科学とは、1)実験、2)理論(二元論、要素還元主義)、3)反証性、が特徴であること、論文捏造、科学社会の構造的問題について軽く触れた。「暮らしの手帖」を例にした科学的な姿勢の解説は学生に好評であった。CAST(Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)studyを通じて、患者中心のアウトカムが重要であること、薬物治療が必ずしも偽薬より優れているとは想定できないことなど、はじめてこの話を聞く学生にはインパクトがあったようだ。
臨床研究のプロトコールの作成法や統計の話、研究のデザイン・バイアスについても言及したが、計算実習がないことが一番よかったという評価が多かった。足し算、引き算、割り算やかけ算が主であり、そんなに難しくないはずなのに。また、感想文の字数や漢字を用いた表現が少なく、ひらがなと誤字が多いことが嘆かわしい!
教養を担当するある教官が、「教養の時間では何よりも日本語をしっかりと勉強してもらうことが重要である」と教務委員会で発言していたが、同感である。(山本和利)