映画『ザ・ロード』(ジョン・ヒルコート監督:2009年)を観た。
終末期の地球を書いたコーマック・マッカーシーのザ・ロードを忠実に映画化したものである。人間社会の規範が崩壊し人食いが常態化してしまった世界の闇の中で、父と子が不条理な闇と闘いながら南を目指す。映画の中で世界の破滅の原因は示されない。荒廃した風景(閉鎖された高速道路、買い物用カート、スキージャケット、ビニール袋、テープを巻いた靴)の中を現在のホームレスのような人が安全と食料を求めて彷徨う場面が続く。
最後の場面に希望が見出せるが、現在のホームレスを生み出し続けている世界こそ終末期ではないかと思わせる映画であった。(山本和利)