『趣味は何ですか?』(髙橋秀美著:角川書店 2010年)を読んでみた。著者は、趣味は何かと問われて、「ない、ような気がします」と答える自分に唖然として、様々な人々に趣味について問いかけ、趣味とは何かを考察している。
坂本龍馬にはまった人、航空傍受する人など変わった趣味を紹介している。さぞかし楽しいのかと思いきや皆さん「つまんない」と答えている。寒いところで何時間も耐えて無線を傍受する姿は、ジョギングと同じように苦しみを味わいたいのだろうと推測している。趣味の定番は、男性は「蕎麦」、女性は「ヨガ」だそうだ。
「切手の消印集め」が趣味というのも面白い。消印を集めて50年。人生を振り返って「自分の時間が欲しいな」と答えている。他のことをやってみたいけれど、この趣味に縛られているからやれないらしい。「エコ」「防災」「亀」「ラジコン」にはまっている人等、様々だ。
本書を読んでわかったことは、趣味に興じているは必ずしも楽しい訳ではなく、それに縛られてやっているのだということである。
趣味に全ての時間を捧げても楽しい訳ではないのだと考えると、本書を読むことで今自分自身が楽しくなくても人生こんなものか(趣味に逃げても同じ)と妙に納得できる効果があるかもしれない。(山本和利)