札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年8月25日水曜日

北海道メディカルラリー


第5回 北海道メディカルラリーⅰn 函館に参加して

2010年8月21、22日の2日間、「第5回北海道メディカルラリー」が函館市内を舞台に開催されました。メディカルラリーとは、救護チームが模擬現場で特殊メーキャップを施した模擬患者を観察、処置、診察をして、限られた時間内にどれくらい的確に治療をすることができるかを競う技能コンテストです。具体的には、医師、看護師、救急救命士がチームを組み、出動指令に従って模擬現場へ出動します。そこでは模擬患者が決められたシナリオに従っていろいろな演技をします。それに対して救護チームは必要な処置を行わなければなりません。

たとえば、「意識のない人が道路に倒れています」と出動指令が出され、指定された地点に行ってみると、頭から血を流した人(模擬患者)が実際に路上に倒れてけいれんを起こしています。チームはその傷病者に対して観察を行い、止血処置、人工呼吸、薬剤投与などの必要な処置を行います。そしてその行為を横にいるジャッジが評価し、採点します。このように実際の現場を再現したものをシナリオステーションと呼び、北海道メディカルラリーin函館では計8ステージが設置されていました。各チームはそのシナリオステーションを順番に回り、評価、採点が行われ、その総合得点で順位を競います。このようなメディカルラリーの意義は、以下のような点にあります。

●競技者が普段経験することが少ない、現実に即した現場の状況を実際に体験できます。
●現実に即した状況を体験することで、救急医療が現場から始まり、その際にはチームワークや指揮命令系統の確立が重要であると認識できます。また、各種コースを受講している者にとっては、自分の能力を試す絶好の機会となります。
●客観的に採点、評価され、その結果をフィードバックされることにより、自分たちの不十分な点、習得していない分野を認識でき今後の勉強方針についての方向性を示すことができます。
我々「チーム久慈エリア」の参加メンバーは、私が今年3月まで勤務していた岩手県立久慈病院 救命救急センターの看護師2名、久慈広域連合消防本部から救命士5名と私、札幌医科大学地域医療総合医学講座の河本一彦の計8名です。

チーム久慈エリアのメディカルラリー挑戦は今回が全くの初めてです。メンバーは外傷初期診療のJPTEC,JATECまたは心肺蘇生術のBLS,ACLS受講者,災害派遣医療チームのDMAT隊員や災害の標準医学教育プログラムBDLS、ADLS受講者などがそろいました。…が様々過酷な想定でなかなか思うようにいきませんでした。加えて函館の厳しい残暑が待ち構えていましたがメンバー全員で力を合わせて全8ステージをやり終えた満足感でいっぱいです。函館の大地でとても有意義な2日間を過ごしました。

○○事故で傷病者が△名。救急隊3人です。さあ、どうする?そうだ。まず応援隊を呼ぼう。そして安全を確認してから現場に入って…搬送の優先順位は?どの病院へ?どのような手段で搬送する?などと考え始めると今でも夢に出てきそうです。地域における病院前救護の在り方やバス横転などの交通事故、災害などは、どこの地域でもいつでも起こる可能性があり、僕は今回メディカルラリーに参加して、地域医療における救急の役割や必要性を強く感じました。(河本一彦)