『ギャンブラーの数学』(ジョセフ・メイザー著、日本評論社、2011年)を読んでみた。
著者は数学科教授。歴史や論理についても講義しているという。
本書はギャンブルに関する数学的なことだけを掘り下げているわけではない。歴史、数学、心理の3部に分かれて記載されている。
歴史については、賭け事に関する蘊蓄が詰まっている。
数学部門のエッセンスは「大数の法則」に尽きる。すなわち「ランダムな出来事を数多く集めると数学的に予測できるようになる」ということを説明している。賭け事は胴元がほんの少し確率的に有利になるように設定されている。それ故賭け事を長期間繰り返せば、客は負けることが運命づけられている。それなのにどうして賭博がなくならないのか。
その点について、心理の部門で人間の賭け事における心理についてドストエフスキーの文章などを引用しながら解説している。
パチンコや麻雀等に嵌ってやめられない方には、本書を読むことでやめるきっかけになるかもしれない(その確率は1%以下であろうが・・・)。(山本和利)