札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年8月17日水曜日

8月の三水会

8月17日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は10名。松浦武志助教が司会進行。初期研修医:2名。後期研修医:5名。他:3名。

研修医から振り返り6題。

ある研修医。確定診断がつかずICに苦慮した一例。84歳の女性。悪寒、発熱、腹痛で夜間外来を受診。炎症反応CRP高値。エコーで胆管拡張。黄疸なし。造影CTで左肝内胆管拡張。CA19-9;1590。胆管癌が疑われた。血液培養:E.Coli陽性。
画像上胆管癌を示唆する所見が得られず。様々な検査後、診断的治療として肝左葉切除術をすることになった。家族との話し合いで、本州でセカンド・オピニオンを受けることを勧めたら、受け入れられた。

CA19-9高値を示す疾患をレビュー。インターネット・レベルなのでここでは略す。
PETはしなかったのか?
膵臓嚢胞の場合、どうするか? 手術をする、しないで意見が分かれた。

ある研修医。食欲不振の90歳代男性のその後。SSRIが有効で食欲が出て来た。
誤嚥性肺炎を繰り返す72歳男性。PEG造設。自宅へ帰ると発熱。近くに家族がいない。病院に来ない。施設での対応は不可能。家族に連絡し来院を促す。「延命治療はしない」という方針を家族が決めて来た。では、どこまで撤退するのか?「点滴」「痰の吸引」レベルをしてほしいという意見が多かった。
点滴200ml/日(モルヒネ入り)のみで吸引せずで、3日後に永眠された。

ある初期研修医。70歳代男性。心不全の急性増悪。入院後悪化。何度も入退院を繰り返す。
「味噌を隠れて食べていた。清涼飲料水を飲んでいた。」治療コンプライアンスを高める必要がある。

40歳女性。慢性膵炎、アルコール性肝硬変。腹水著明。何度も入退院を繰り返す。「酒を飲んでいない」というが、2日前まで摂取していた。退院希望で、外来通院とした。精神科受診を約束した。家族を含めて協力を求め、看護師の意見を参考にすること。
クリニカル・パール「人間、酒・セックス・お金については嘘をつく」「アルコール離脱症状に注意すること。」

ある研修医。60歳代男性。咽頭痛、心か部痛。AMIでCABG施行後,高血圧あり。その他、たくさんの愁訴あり、入院となる。
GERD,慢性胃炎。A弁にゆうぜい。右ソケイヘルニア。上司に生物・心理・社会的アプローチを提案される。それぞれの要素について検討。うつ病はない。血圧値に対する不安が強い。家人の発言で不安が増す。血圧、手術後の経過について改めて説明を加えた。
頻回に患者と会話することで患者からの信頼度が上がった。
手術したことが今の症状に影響していないか?
クリニカル・パール「臓器の異常が見つからなければ、生物・心理・社会的アプローチをすること」

ある研修医。40歳代男性。咽頭痛、全身倦怠感、関節痛、頭痛。発熱なし。咽頭発赤なし。リンパ節腫脹なし。血液検査をし、翌日受診。AST;105,AST:138,LDH;247.葛根湯、PL顆粒を内服中。肝障害は持続。HCV,HB,HAは陰性。EBV,CMVを依頼。サイトメガロ感染症であった。
サイトメガロ感染症のレビュー。10%に伝染性単核球症様の症状。皮疹が出ることが多い。異型リンパ球の上昇。
クリニカル・パール「免疫不全患者では、サイトメガロウイルスの再活性化に要注意」

ある研修医。80歳代女性。血性腹水。卵巣がんと診断がついた。訪問看護に移行した。自宅で腹水排液をすることになった。全身倦怠感にステロイド、麻薬を使用。便秘に下剤を開始。第6回目の訪問で看とりとなった。
在宅ケアができ、自宅で永眠できたので十分ではないか。

その後、1年目の研修医と面談し、研修中の問題点や今後の進路についての話し合いを持った。(山本和利)