『歓待』(深田晃司監督:日本 2010年)という映画を観た。
監督は、注目を集める若手。プロデューサーは、本作の弱冠26歳の主演女優である。本作品は東京国際映画祭日本映画・ある視点部門で、作品賞を受賞している。「青年団」という劇団員が出演し、低予算で作られている。オリジナリティが卓越しておりユーモアセンスが抜群である。
場所は東京下町の印刷所。インコがいなくなったといって、町内の掲示板に捜索ポスターを「親子」が貼っている。そこにインコを見たと言って胡散臭い訪問者が印刷所に現れる。たまたま印刷工の体調不良をいいことに、印刷所に居座り、その家庭を引っかき回していく。しばらくして国籍不明の金髪妻が現れ、状況はますます混乱してゆく。どこにでもありそうな家族の日常性の中に隠された秘密が少しずつ暴露されてゆく。映画を観ているというより、劇場で劇を観ている感じに襲われる。朝の歯磨きのシーンや夜の声だけの濡れ場が印象的である。
家族のありかた、コミュニケーションの仕方、外国人労働者の扱い等、観る者によってそれぞれに考えさせられる映画であることは間違いない。(山本和利)