10月12日、北海道庁保健福祉部の鈴木隆浩主幹から「北海道の地域医療の現状と道の取り組み」を拝聴した。
北海道の医師数は12,000人で、全国の4%を占める。これまで右肩上がりであり、224.9名/10万人であったが、2004年からは北海道内の医師数の伸びが鈍化している。また医師の地域偏在もある。札幌圏には6,371名がいるが、南檜山圏には34名しかいない。10万人当たりで見ると上川中部圏は317.5人であるが、根室圏は91.2人に過ぎない。ドクターヘリを3機導入しているが、限界がある。
アンケート調査によると、日本中で医師が1万8千人不足し、北海道は780人不足している。現状の1.1倍必要という計算になる。女性医師が増加(13.1%)し、無床診療所が増加し、病院・有床診療所が減少している。小児科を主たる診療科とする医師数は不変だが、複数標榜する医師が減少している。産婦人科は20-30歳代の女性医師が6割を占める。
道内の卒後臨床研修医の状況として、大学の研修医が不足し、地域の医師の引き上げが起こっている。国が研修医制度に見直しをかけたが、研修医数の上限を決められたため、北海道にとっては有効な政策となっていない。その中でさらに数十名が去り240名が後期研修医として道内に残っている。
北海道の医療機関の特徴は市町村立病院が多く、100床未満の病院も6割と非常に多い。
そして54.4%が標欠となっているため、診療報酬が少ないため経営が成り立ちにくい。
1人勤務の診療所・病院が増えているが、一人やめるとドミノ倒しで医師がやめてゆく。
次のような北海道の取り組みを紹介。
北海道医療対策協議会
・ 医師派遣要請
・ 全体調整依頼:現在22名の要請に4名に応諾。
・ 札幌医科大学地域医療支援センターから15名派遣
・ 旭川医大:3名
・ 自治医大:10名
・ 北海道地域医療振興財団:14件成立
・ 北海道女性医師バンク:最近は成立が少ない。
・ 地域医療支援派遣医師確保事業:最近は0件
・ 道外医師招聘事業:道内13名、道外3名
・ 医師版移住促進事業:11名
・ 短期医師:派遣日数:2,230日
医学生向け合同説明会
総合医養成支援事業
指導医養成事業
10億円の予算をつけている。(4億円増加)
学生奨学金制度:6年間で1,200万円、将来は全体で奨学生が160名になる。
研修医への貸与金制度:年額240万円もある。
道内の医学部入学者344名。
新たな事業
・ 地域医療指導医派遣システム推進事業:北大
・ 総合内科医養成研修センター運営支援事業:23病院を指定
授業の最後に学生に質問。
将来僻地に行ってもいい人:約10名。
内科系希望:約15名
産科・小児科:約5名。
道庁が様々な取り組みをしていることを始めて知る学生が多かった。成果が今ひとつなので、さらなる取り組みを期待したい。(山本和利)